『好きだよ』

その言葉をきいた瞬間、寝たフリしてるのも忘れて、飛び起きそうになった。
何とか堪えてやり過ごしたけれど、朝岡の声が、ずっと耳に残って離れない。

なんで、どうして。

嬉しさよりも先にそんな疑問ばかりが込み上げる。

朝岡とは出会った瞬間からして、最悪な自分しかみせてへん。
やから、彼女の口からそんな言葉が飛び出るなんて思ってもみなかった。

……信じて、いいのだろうか。

素の俺を好きと言うてくれた朝岡。
最初から取り繕わない自分をさらけ出していたから、彼女の言葉に偽りはないと思う。
やけど。

『ごめん、やっぱムリ』

脳裏に浮かぶのは、今まで付き合ったことのある女子の顔。
みんな、俺に幻滅して別れを切り出された。

そんな彼女たちと、朝岡は違う。
そう、わかってるはずなのに。
朝岡の言葉に応えることが怖い。

このまま、きかなかったフリをすれば、今までと同じでおれるんやろうか。

友達のようなそれ以上のような。
居心地のいいこの関係をーー。





-15-


[ | ]

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -