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「ゲームセット、勝者 青春学園・越前!」

審判のコールが、夏の終わりを告げる。
高校最後のインターハイ、四天宝寺は準優勝に終わった。
S3の蔵に始まり、S1の金ちゃんまでもつれ込んだ接戦の結果だった。

「コシマエーっ、来年は絶対いてこましたるかんなーっ!」
「言ってれば?まぁ来年も勝つのは俺だけど」

試合会場からの帰り道。
銀メダルを首から提げながら、青学の越前君に絡んでいる金ちゃん。
今はすっかり元気になっているけれど、その顔には試合終了直後に流した涙の痕がある。

「ふぇ、っぐ、」
「日和。ええ加減泣き止みや、鬱陶しい」
「や゛げど…っ、」

そんな金ちゃんとは対照的に、試合終了後からずっと泣いているのは日和ちゃん。
真っ赤になった顔を光君から借りたハンカチで拭っている。
光君も表情にこそは出さないものの、いつも冷ややかな瞳にしっかりと闘志を燃やしているから、来年蔵たちが成し遂げられなかった全国優勝をもぎとる気でいるのだろう。

「小春、終わってしもたな」
「せやねぇ。ちゅうか一氏、終わったんやから、もうくっつかんどいてや」

そんな後輩たちに対して私たち3年生は、どこかしんみりとしていて、小春ちゃんとユウジ君のいつものやり取りも何となく覇気にかける。
それは普段無口な師範や、健次郎君もそうだし、普段飄々としてる千里君も同じ。

「ひな」
「あ、謙也君」

集団の後尾でみんなを見ていたら、後ろから走ってきた謙也君に声を掛けられた。

「なぁ、白石みんかった?」
「蔵?」
「更衣室出る時、先行っといて言われたっきりみてへんのやけど……」

何処におるか知っとる?という謙也君の問いに、思い浮かぶ場所はひとつ。

「なんとなくアタリはつくから、迎えに行ってくるね」

謙也君に、他のメンバーと先に宿泊先に帰っていてほしい旨を伝えて踵を返した。




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