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「……ね、ねぇ蔵。今ものすごい悲鳴聞こえなかった?」
「……せやな」

先発組が中に入って間もなく、断末魔とも思える大絶叫がお化け屋敷の中から轟いた。

「……今のケンヤやんな?」
「そうたいねぇ」
「千歳ぇ、ケン坊〜、ケンヤ生きとるやろか?」
「お化け屋敷で死にはせんやろうけど、かなり怖いんやろな」
「えぇー!?」
「金ちゃん、怖かったら手繋ぐと?」

俺とひなの傍らでは金ちゃんが青ざめてて、それを小石川と千歳が宥めすかしとる。
その様子を眺めとったら、制服の裾がぎゅうと引っ張られた。

「……ひな?」

その先に視線を遣れば、少しばかり血の気の引いたひなの顔。

「怖いんやったら入るのやめよか?」

俺の問に一瞬考える素振りをみせたひなやけど、すぐに頭を振った。

「大丈夫……」
「けど、」
「お待たせいたしました。次の5名様どうぞ」

顔青いで、と続くはずやった俺の言葉は、係員のにこやかな声に遮られた。
そして、促されるままに俺たち後発組もお化け屋敷の扉をくぐった。





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