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みなさんこんにちは。
この春より四天宝寺高校男子テニス部マネージャーになりました水無瀬日和です。
毎日暑いですが、全国大会に向けて練習しはる選手のサポートに専念しとります。

「こら、水無瀬ちゃん。嘘はアカンやろ」
「せやな。こいつ、いっつもあっついあっつい文句ばっか言うとるやん」
「部長と謙也先輩は黙っとって!」
「「へいへい」」

ま、まぁたまに本音が出てまうんは仕方あらへんっちゅうことでお見逃し下さい。

「どこがたまにやねん。自分毎日やんか」
「ひーくんまでっ!ヒドイ!」
「「「いやいやいや、事実やから」」」

――ごほんっ!
と、とにかく毎日暑い上、今年は節電の夏っちゅうことで部室のエアコンは自主的に使用禁止。
せやけど、夏の暑さは例年通りで、どっかで涼をとらんと部員もマネージャーも茹ってまうに決まっとる。

そこで!
今日はみんなで涼しくなれる場所にやってきました!

「涼しなれる場所って……。ここ単なるショッピングモールやん」
「ふ、甘いですね、謙也先輩」

辺りをきょろきょろ見回している謙也先輩に、指を振る。

「確かに何の変哲もないショッピングモールやけど、こん中にあるんです。簡単に涼しくなれる場所が」
「なぁなぁ日和ー。それってどこなん!?」
「それは、たどり着いてからのお楽しみや」

目を輝かせる金ちゃんに、にっこりと微笑んで、ウチの目の前に続く行列の先の先を指差した。


***


「「「お化け屋敷〜っ!?」」」

行列に並んで30分。漸く目的地が見えたところで、先輩らは素っ頓狂な声を上げた。

「日和」
「なん、ひーくん?」
「自分、こーいう好き嫌い分かれそうなとこ行くんやったら先に言いや」
「え、なして?」
「苦手な人もおるかもしらんやろ。謙也さんとか」

ちら、とひーくんが目を向けた先では、謙也先輩が心なしか青い顔をしとる。

「謙也先輩、怖いのダメなん?」
「ばっ、そないな訳あるかいっ!」

大袈裟に腕を振る謙也先輩に、ひーくんはふ、と哀れむような視線を投げた。

「謙也さんの他にもひな先輩とか」

ひーくんの言葉に、部長とひな先輩の方を見遣ると。

「ひな、大丈夫か?」
「う、うん……」
「怖いんやったら、無理して入らんでもええんやで?」
「怖い……けど、蔵がいてくれれば大丈夫、な気がする……」
「ひなっ!」
「ちょ、蔵っ!?」

公衆の面前であるにもかかわらず、ひな先輩を後ろからぎゅうと抱きしめる部長。
「あ〜もー、ひなはかわええなぁ」とかなんとか、惚気るんも大概にしいやっちゅう台詞を宣って、ピンクのオーラを撒き散らしとる。

「アホやな、あの人ら」
「……せやね」

そんな2人を見て、ひーくんとウチが盛大に溜息を吐いたんは言うまでもない。




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