魔女っこからのアドバイス(2/2)



どどどど、という地響きとともに現れたのは、ヴァンパイアに扮した長身の男子生徒。
マントの襟元を立てて顔を隠しているけれど、特徴的なミルクティーブロンドが丸見え。
彼を筆頭にサバンナの水牛の群れよろしく砂埃を上げながら、その集団が駆け抜けて行った。



「……今のって、」
「あらら〜、蔵リンたら見つかってまったようね」
呆気にとられながらも小春ちゃんを振り返れば、彼は苦笑いを浮かべていた。
「ひなちゃんは追いかけんでええの?」
「うん」
にやりと笑った小春ちゃんに、即座に頷けば、「あら」と何度も瞬いた目で見返された。
「だって、あれ白石君じゃなくて健二郎君でしょ?」
「……やっぱり、ひなちゃんには敵わんわぁ。あの一瞬で見抜いてもうたん?」
けんちゃんには髪のセットまで崩してもろてるんにと、わざとらしく頭を抱える小春ちゃん。
「当然だよ。まだ日は浅いとはいえ私はみんなのマネージャーだもん。走ってるときのクセとかでわかるよ」
「特に蔵リンのことはよう見とるもんねぇ?」
「うっ、」
……改めて言われるとものすごく恥ずかしい。
「ふふ。愛の力ってやつねぇ」
「小春ちゃん、そういうこと言わないっ!」
「照れちゃって。ひなちゃんやっぱ可愛えわ」
真っ赤になってストップと言わんばかりに小春ちゃんに向けて両手のひらを向ける。
「本物の蔵リンは校内のどこかにいるわよ。頑張って探したってね」
「うん」
言われなくとも探します。なんだかんだで私も他の女の子たちと一緒で白石君とダンス、踊りたいしね。

「あ、せやせや」
小春ちゃんに手を振って別れを告げようとしたら、後ろから呼び止められた。

「校内言うたからって、必ずしも校舎内とは限らへんよ?」

「え?」
小春ちゃんの耳打ちに驚いて振り返れば、小春ちゃんはふふ、っと笑って口元に人差し指をあてていた。
「頑張るひなちゃんにちょっとだけサービスよ」
ほな、健闘祈っとるで、と素敵なウインクを残して小春ちゃんは去って行った。




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