魔女っこからのアドバイス(1/2)



着替えを済ませた私が『白石蔵ノ介を探せ!ゲーム』の舞台となっている校舎についた頃には既に開始から30分が過ぎていた。
昇降口の扉を開けると、そこには。

「うわぁ……」

溢れんばかりにジャックランタンとゴーストとミイラ男が犇めいていた。
なんていうか、四天宝寺の男子生徒の殆どが3種類のうちのどれかになってるんじゃないかってくらい、校舎内にはカボチャか真っ白な布を被ったお化けか、全身を包帯でぐるぐる巻きにしたタキシードの姿しかない。はっきり言って校舎内は異様な空間と化している。
彼ら以外に見かける仮装姿といえば、女子生徒の魔女とか猫娘とかだけど、彼女たちは彼女たちで血眼になって白石君を探しているから、迫力があるっていうかなんていうか。
正直近寄りたくアリマセン。

「ひなちゃん」

私が呆気にとられていると、後ろから小春ちゃんの声がした。
振り返ると、一氏特製魔女っ子プリンセスに扮した小春ちゃんがいて、思わず、
「かわいー!」
と叫べば、「ひなちゃんだって似合ってるわよ、小悪魔姿」とにこやかに返されてちょっと照れる。
「ね、ね、小春ちゃん。やっぱりこれってみんな白石君のダミー?」
私が異様な3種の集団を指差せば、小春ちゃんも呆れた顔をした。
「というか、顔のわからない格好をしてれば蔵リンかと勘違いした女の子に話しかけられるんちゃう、と思った愚かな男たちってとこやね」
「……あぁ」
公式なダミーはけんちゃんだけやよ、という小春ちゃんの言葉を受けて、私は遠い目でその大群を見つめた。
そこまでして女の子から声かけられたいのか、キミタチは。
……まぁ、今現在なりふり構わず白石君を探す女子生徒たちの様子をみれば、すぐに彼女たちの心は全て白石君に持ってかれてしまっていることが分かるくらいだから、仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。
だが、キミタチに男のプライドというものはないのか!
「しゃーないわよ。他の学校だったら運動部のエースとして注目を浴びそうなコたちも、ここじゃ蔵リンの存在感で霞んでまうからね」
私としては白石君だけというより、テニス部レギュラー全員のせいな気がしなくもないけど。白石君はいうまでもなく、クラスメイトの話題に上るのは8割方がテニス部男子で、かくいう小春ちゃんだって、聞いてる限りじゃ女の子からの人気も高いと思う。

「「「きゃああああああああ!!」」」

そんなことを考えていたら、耳をつんざくような悲鳴(という名の黄色い声)が体育館からの渡り廊下で響いた。




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