ゲーム開始!



『生徒会からのお知らせよん』
あ、小春ちゃんの声だ。
『女子の皆さんお待たせ!只今より第4回“白石蔵ノ介を探せ!ゲーム”を開催するで!』
………………はい?
『ルールは簡単!校内のどこかに隠れとる四天宝寺のアイドル白石蔵ノ介を探して捕まえて、生徒会室に連れてくるだけ!見事このゲームをクリアした貴女には!今夜の仮面舞踏会で一氏ユウジ特製ヴァンパイアコスチュームに身を包んだ白石を独り占めできるっちゅう特典が与えられるで!』
私が驚くよりも先に、きゃあああああっ!!と隣の女子テニス部の部室から黄色い悲鳴があがる。
『せやからクリアしたら、ねぇ。その後の展開なんちゅうことが待っとるかもしれんわよ?』
小春ちゃん、煽っちゃだめだって!
どことなく艶っぽい声がマイクを通して伝わってくると、さっきの黄色い悲鳴が今度は最早雄叫びなんじゃないかってくらい激しいものに変わる。
『ゲームの参加資格はちゃんと仮装していること!制限時間は今から2時間後の正午まで!みんなの健闘を祈っとるわぁ。ほな、よーいスタート!』
小春ちゃんの合図が終わるか否か、様々な場所から乱暴にドアを破る音が聞こえ、女子生徒の悲鳴に集団で走る地響きが加わって、一気に学校全体が騒然となった。


「……ちゅうわけやねん」

その様子を見て(聞いて)いたテニス部の面々が乾いた笑いを浮かべていたのは言うまでもない。
銀さんはさりげなく「哀れやな……白石はん」なんて呟いた上に合掌していたし。
因みに謙也くんの補足によれば、健二郎君は白石君のダミー役なんだそうだ。
……苦労するね、副部長。
「ひなも当然参加するんやろ?」
姿が見えない健二郎君に向けて合掌していると、謙也君に肩を叩かれた。
「早よ着替えな乗り遅れてまうで」
条件反射で頷けば、悪魔の衣装を手渡され、謙也君は他のメンバーに退出を促す。

「白石はん、捕まえられるとええな」
「健闘祈ってるで!」

去り際、みんながこっそりと耳打ちしていく。
今のは上から銀さん、ユウジ君。

「白石のこと頼むで」

金ちゃんの背中を押しながら謙也君にまでそっと囁かれた。

…え、えっ!?
もしかしなくても私が白石君好きなことってみんなにばれてるの!?

「ちゅうかひな先輩がわかりやすすぎるんスわ……」
溜息をついて光君が耳元に口を寄せた。
「言うときますけど……、」

ほぼ全員先輩のキモチ知ってますで?

「嘘っ!?」
「財前!早よ出ぇっ!」
恐らく顔を真っ赤に染めているであろう私に助け舟を出してくれたのは謙也君。
浪速のスピードスターの名に恥じぬ速さで、光君の襟首を掴んで部室から出て行った。
軽く首を絞められるような状態になった光君がものすごい目で謙也君を睨んでいたのは見なかったことにしよう、うん。




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