『位置について、よーい、』

ぱぁぁんっ!

ピストルの音に合わせて6人の選手が一斉に飛び出す。

『他の5人を引き離し、真っ先にクジの前に辿り着いたんは白組・忍足謙也!』

実況中継さえも余裕で聞き流し、俺は迷わず抽選箱に手を入れる。
そして掴んだオーダー表を開いて。

「………………」

固まった。

え、え?

見間違いでありますように、と祈りながら何度も目を瞑ったり開いたり、さらには擦ったりして確かめるも、紙の上に書いてある文字は1文字も変わらへん。

『借りてこい→好きな人。指令→その人に大きな声で告白せよ』

なんなんや、このオーダー。
こんなん混ざってるなんて聞いてへんで!?

『おぉっと、絶好調やった忍足選手、オーダー表を見てからちっとも動きません!一体彼に何があったんでしょうか!?』
『これは、アレを引いてしまいましたかね?』
『アレとは?』
『バクダンオーダー。引いてしまった人が借りにくい、そして恥ずかしい指令が書いてあるオーダー表のことや!』
『た、例えば?』
『以前あったんは、借り物=恋人で、その人にありったけの愛を叫びながらゴールせよっちゅうやつでしたね』
『因みにその人は……!』
『そりゃあもう目いっぱい愛を叫んでましたよ?』
『それはすごいですね』
『やって、それ引いたん四天宝寺が誇る名コンビラブルスの一氏ユウジ君やったんで』

会場中があぁ〜、と納得。
俺もそういえばそんなこともあったかもしれへんと記憶を辿る。

ちゅうか、あの2人はええよな、そうやって何してもギャグにできてまうんやから。

そこまで思ってふと気が付く。
俺かてこれを真面目にやらんとギャグにしてもええんちゃうやろか。

競技開始直前、放送委員の解説が言うには、借りモン使た指令をうまくギャグにできたらムアンギ校長がボーナスポイントくれるっちゅう話やったはず。

そうと決まれば善は急げや。

与えられた指令を乗り越えるために必要な助っ人のもとへと向かった。





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