『さて、レースもたけなわ!序盤からトップを爆走中の紅組!女子の視線が集まる財前選手にバトンが渡ったぁーっ!』
『この第五走者が男子では最後になるわけですが、これはアレが来ますかねぇ』
『運営担当の生徒会メンバーに訊いてみましょう!金色さん!』
『フ・フ・フ。まぁみてたらわかるわよん』

怪しい笑声に、会場の注目が第五走者が走る先へと向けられる。
そこにあるのは。

「げ、」

『キタ――――っ!女性のみなさんお待たせしました!男子版仮装トラップ出現です!』

力の入った放送とともに会場中から女の子の黄色い歓声が上がる。

『トップバッターの財前選手、苦虫を噛み潰したような表情で竿にぶら下がってる衣装袋を吟味しとります!』
『おぉっと、長考しとる間に後ろから白が追い上げてきましたっ!3位以降を引き離し駆け抜けてきたのは忍足謙也だーっ!』

「ちっ、謙也さん来るの早すぎるっスわ」
「のんびりしとるお前が悪いんやろ、財前。ほな、お先に!」

『忍足選手、1番手前にあった袋を掴んで、テントの中に入りました!さすが浪速のスピードスター、選ぶんも早い!』
『財前選手も袋を掴んでテントに入ったぁっ!果たして両者はなんのコスを引き当てたんでしょうかっ!?』

観客席に座る生徒(主に女子)が固唾を飲んで見守る中、ジャっとテントのカーテンが開かれたと思うと、2人の選手が同時に飛び出してきて。

「「「きゃああああああぁぁぁぁっ!!!」」」

同時に女子の悲鳴が、それはもう近所迷惑通り越して、大阪中に聞こえるんじゃないかっていうくらいのボリュームで響き渡った。

『皆さんお聞き下さい、女性たちの歓喜の声を!』
『なんと、天才財前君が引き当てたんは黒猫コスプレ!猫耳と猫手、鈴つきシッポを身に着けて無表情で爆走しとります!』
『そんな財前君と僅差で前を行くんは、白衣のスピードスターだぁっ!』
『聴診器を首に下げて……医者コスですね』
『定番すぎるわっ!もう少しおもろいもん引けやっ!』
『ちょ、一氏君、マイク奪わんといてくださいっ!』

放送がジャックされ混乱する中、紅も白もバトンがアンカーの女子に渡ろうとしていた。





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