『現在1位は第二走者にバトンが渡った紅組・五十鈴川ひな!そのあとを白組・白組・紅組の順で追いかけます!』
『さて、次のトラップは……と、これはキターっ!コスプレトラップだーっ!』

「なんやてっ!?」

ひな先輩の挑むトラップがわかった瞬間、走り終わったばっかの部長が大声をあげた。

『竿に吊るされとる袋から好きなモンを選んで、隣のテントの中で着替えて走るだけ!』
『特に必要とされる能力はないですね』
『まぁ強いて言うなら足の速さと、あとはどんな衣装でも確実に走り切れる根性と勇気やないですか』
『と言いますと?』
『衣装袋の中身は、学ランとか浴衣みたいに無難なモンの他、バニーちゃんにメイドさん、そして大きな声では言えませんが学校行事で使える範囲ぎりぎりのモンまでありますからね。自分が何を引いたにせよ、恥ずかしがらずに走り続ける覚悟が大事になってくるんですよ』

「ひなっ、ボリュームやっ!なんでもええからもっさりしたやつ選ぶんやっ!」
「……部長、こないなとこから叫んだってひな先輩には聞こえないっスから」

放送委員が余計なことを口走ったせいで、部長が半ば狂乱しとる。

「せやかて財前!ひなのあられもない姿が公衆の面前に晒されたらどないすんねんっ!」
「あられもないて……、部長どんな衣装想定しとるんスか」

なんぼなんでも学校行事。
露出度高いモンは用意するはずないやろ。

ホンマ、ひな先輩が絡むとアホんなるんやからこの部長は。

今にもひな先輩んとこまで走っていかねん部長を日和と2人で押さえつけながら、小さく嘆息をつく。

『トップバッターの五十鈴川さんが袋を持ってテントに入ったーっ!』
『結構膨らんでるようにみえましたけど、中身なんなんでしょうねー』
『着ぐるみとかドレス、ですかね?』
『あ、出てきましたぁーっ!』

実況の声に、会場の視線がひな先輩の入ったテントの出口に向けられる。
勢いよく飛び出してきたひな先輩は、ゴスロリっぽいメイド姿で。

「「うおぉぉーっ!」」

会場内から歓声が起こる。
勿論声の主体は男ばっか。
野太くてちょっときしょい。

「おぉー……」

バチンっ!

かくいう俺も思わず見惚れとったら、部長におもっきし顔面ビンタされた。
地味に痛い。

『絶妙な長さのスカートを揺らしながら、五十鈴川選手、次の走者にバトンを渡した!』

そして俺らがそないなやり取りをしてるうちに、ひな先輩はあっという間にコースを走り抜けた。





-7-


[ | ]

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -