『さぁさぁ、体育祭午前の部ラストの競技は……、みなさんお待ちかね、障害物競争やーっ!』

「……来たな」
「っスね……」

明るい放送とは打って変わって、深刻な面持ちの蔵と光君。
この2人がこんな表情をしてる理由を重々に理解している私は、ただ横で苦笑するしかない。
だって、この競技……。

『大方の人が知っとる通り、この競技の出場者は全校による投票で決まるでぇ!ただし、誰が出るのかは当日、つまり今が今までわからへん!』
『因みに今までの最多出場者は、中学1年から5年間連続出場の白石蔵ノ介!6年連続出場はかなうのでしょうか!』
『さらに同じく連続出場が期待されるんは、テニス部2年の財前光!』
『ぶっちゃけ、彼らの出場する確率はどれくらいなのか、2人と同じテニス部で、生徒会会計の金色さんに訊いてみたいと思います!』
『そうねぇ、蔵リンと光が出る確率はほぼ100%やろねぇ』
『おぉっと、それはまたなぜでしょう?』
『やってこの競技、毎年男女1人ずつコスプレトラップにあたるやない?ステキな男の子の滅多に見られない姿を見たいっちゅうオトメが多いもの。これも各組2チームまで出られて1チームは男女3人ずつ。間違いなく6人のうちには入ってくるはずよん♪』

だから、コスプレ嫌いな蔵と、見世物にされるのが嫌いな光君にとっては地獄のような競技。
しかもそんな2人だからこそ、小春ちゃんの言うようにコスプレ姿を見たいと思う人(主に女子)からの票が集まってしまって出場せざるを得なくなる。

『それでは投票結果を発表します!まずは紅組、第一走者・白石蔵ノ介!他の出場者(男子)に圧倒的な差をつけて選ばれました!』

きゃああぁぁ、と黄色い声が上がる中、蔵はがっくしと肩を落とした。

『続いて、第二走者の発表です!紅組は……、五十鈴川ひな!白石君の彼女がキターっ!』
「えぇっ!?」

まさか自分が選ばれるとは思ってもみなかったので、思わず驚きの声を上げる。

『第三・第四走者に続きまして、第五走者の発表に移ります!紅組は……、やっぱりキターっ!財前光!そして、対する白組は忍足謙也!チーム対抗リレーに続くテニス部対決だぁ!』

次々に呼ばれるテニス部メンバーの名前に、改めて彼らの人気の高さを実感させられる。

『いよいよアンカーの発表です!紅組アンカーは、期待の1年、水無瀬日和!』
『以上の生徒は大至急入場ゲートに集合してください。間もなく競技が始まります』





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