眩しい陽射しと少し冷たい風。
日中外に居ても大分過ごしやすい気候になってきた。
普段なら、教室にいて授業を受けとる最中の平日。
太陽が空のてっぺんに近づきつつあるのに、俺と来栖は、校外の公園にいる。

理由は簡単。
酷く泣き腫らした目をしてた来栖が痛々しくて、見てられへんくて。
そんな俺の我儘にも近い感情に任せて、彼女を半ば強引に連れ出し、学校をサボっとるから。

すっぽかすんは初めてやったし、来栖にもかなりびっくりされたけど、自分でも割かし平然としとれることに驚いとったりする。

「もうすぐ午前中の授業終わってまうね」

一頻り泣いた来栖は、朝よりはどこかすっきりした表情をしとる。
そんな彼女は、俺の制服を涙で濡らしたことを謝ってから、真面目に学校の心配を口にした。

「せやな。どないする?午後からでも戻るか?」
「あー……」

そう訊ねると、来栖は眉を寄せて唸り始める。
大方授業受けんとあかんっちゅう気持ちと、謙也と顔を合わせにくいっちゅう感情がせめぎ合っとるんやろう。

「悩むくらいやったら戻らんでもええと思うけどな」
「出た、白石の不良発言」
「せやからちゃうって」

さらっとサボりを推奨すれば、じとっとした視線を寄越す来栖。

俺だってサボりが宜しくないことくらい、重々承知しとる。
せやけど、来栖の泣き顔や苦しむ顔はみたくない。

我ながらエゴの塊やと思うけど。

「でも、白石がそう言うてくれるんやったら、今日はまるっと1日休もかな」

謙也たちと顔を合わせるの、まだ気まずいし。

謙也、と口にした瞬間だけ、痛みを堪えるような表情をする来栖。

それは、彼女の想いの深さを象徴しとるようで、正直ちょっと悔しい。
せやけど。

「白石は?学校戻る?」
「いや、今更行くんもなんや変な感じするし。俺もサボるわ」
「潔いなー」
「やろ?」

どや顔すると、「褒めてへんし」と微かに笑う来栖。

せめて俺といる間だけは、謙也とのことを忘れて欲しい。

彼女には伝えられん想いやけど、少しでもそれが通じたようで嬉しかった。

「ほな、行こか」
「え?」
「帰るんやろ?送ってくで」
「そんな、ええよ。白石とウチじゃ帰る方向真逆やろ?」
「そうでもないで?」
「いやいやいや、そうでもあるやろ」
「ええからええから」

頑なに送られることを拒む来栖に対して、やんわりと押し通せば、最終的には彼女が折れた。

「白石ってさ、結構頑固やんな」
「そうか?」
「せやで」

呆れたような彼女と、他愛のない話をしながら、人の姿では2回目、せやけど猫の姿では何度も通いなれた来栖んちに向かった。





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