夏休み最後の1日。
俺は毎年恒例のように、テニス部員の忍足謙也の家におった。
「お前も大概懲りひんやっちゃなぁ。宿題ははよ片せいうてるやん」
「分かってても頭が嫌や言うんや、しゃーないやろ?」
「……口答えするんやったら教えてやらんで、世界史」
「おわっ!わーった、やります速攻でやらせていただきますっ!せやから怖い顔やめやっ、白石っ!」
ちょい睨みをきかせてやれば、俺がここに足を運ぶ原因となった謙也は慌てふためいて、残っとる宿題にとりかかる。
他の科目はそこそこ早う片すんに、苦手な世界史だけはいっつも後回しにする謙也が最後の最後で俺か小春を頼るんは最早真夏の決定事項。中学んときからずっと続いとる。
今日は小春がユウジと漫才いくとかで、俺しかおれへんのやけど。
「最初から黙ってやっとればええねん」
そんないつもの日常。
せやけど、俺は今日この日、謙也んちに来たことをものすごく後悔することになる。
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