「まだ鳩が豆鉄砲くらったような顔しとるで?」

白石に引っ張られてやってきた近くの公園。
ベンチに腰かけて呆然としとったウチに、缶ジュースを差し出しながら、くすくすと笑う白石は、まるでサボりなれてる不良みたいに映る。

「やって、ウチサボりなんて人生初やもん。しかも、一緒にサボってるんが四天宝寺イチの優等生っちゅうありえへん事態の連続やし」

これで驚かんほうがおかしいわ、と缶ジュースを受け取りながら返すと、ウチの隣に腰かけた白石も確かにな、と相槌を打つ。

「まぁ、俺もまさか自分がサボるなんて思いも寄らへんかったわ」
「え、やったら白石も初サボり?」
「当たり前やろ?何や来栖、俺がサボりの常習犯だと思うたん?」
「ないやろなぁとは思うてたけど、白石があんまりにも堂々としとるから」
「こういうんは変にこそこそしとるほうが怪しまれるんやで?」

悪戯っぽく笑って、「堂々としたもん勝ちや!」なんて言いだすから、思わず笑ってしまう。

「……やっと笑うたな」
「え?」

優しい眼差しをウチに向ける白石。
微かな音に振り返ると、白石はしもたっちゅう顔を浮かべる。

「さっき学校で会うた時、死んだような表情しとったから」
「あ……」

こっち来て正解やったな、と笑う白石に、随分気を遣わせてしもたんやと申し訳なく思う。

「何やごめん。ウチのせいで白石をサボらせてしもたみたいやな」
「気にせんの。俺が来栖と一緒に居たくて連れ出したんやから」

ぽんぽんと頭を撫でてくれる長い腕。

ホンマ白石には気ぃ遣て貰てばかりや、ウチ。

「色々、おーきに」
「どーいたしまして」

素直にお礼を言えば、白石は柔らかく微笑んだ。





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