「嘘やろ……」
顔を真っ赤にして、泣きながら教室を飛び出した幼馴染。
『ウチやって、ずっと前からっ、謙也のことがっ、好きなんやもんっ!!』
嗚咽交じりの告白。
強気な彼女が泣いとる場面なんて、ほとんどお目にかかったことがない。
「全然、気ぃついてへんかった……」
知らへんかった、ではすまされんくらい、彼女にデリカシーのない言葉を投げつけた。
物心がついたころから一緒におって。
誰よりも長く、誰よりも近くで過ごしてきたんに。
「俺、アホやろ……」
言いようのない後悔の念が襲う。
暁を引き留めそこねた扉に背を預けて、ずるずると座り込んだ。
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