うたたねの王子様のその裏で……


「たまがった(びっくりした)」
「開口一番何やねん千歳。ちゅーか珍しいな部活にちゃんと来るやなんて、明日は槍でも降るんとちゃうか?あーあと入口塞がんでや、入れへんやろ」
「本当にたまがった。目を疑ったたい」
「分かった、話は後でゆっーくり聞いたるさかい、今は中に入れさせてくれ」


『こら謙也、遅刻はあかんで』
「すまん、提出課題今日までやったのすっかり忘れてもて。直ぐ用意するわ」
『白石や』
「何ゆうてんのや、そんなん分かっとるわ」
『こっち見てみ白石やで』
「だから何やねん分かっとるちゅー話や。しつこいで、白石。…………お前誰や!!」
『白石や』
「白石!?」
『そうや』
「そっその視線何や!?その色気何やっっ。ホンマもんの白石か!?」
『んー絶頂』
「おっ白石や、ってちゃうわ。えっちゃうことない?えっ!?えっ!?お前誰や俺は誰や」
「どんだけ部長が好きなんですか、謙也さん」
「財前!!白石が白石であっちの白石は白石か」
「救急車呼びますか?」
「おい練習始めるで、はよ集合しいや」
「白石!!が……2人!?」
「はぁ?」
「ユウく〜ん、はよ準備せんと間に合わへんよ」
「小春〜〜迎えに来てくれたんか」
「んもうこのアタシを待たすなんて。はよ行くわよっっ」
「待って待って小春ぅぅぅ」
「……キモいっすわ」
「あれは流石に…………っておい、ユウジやったんか。さっきの白石はユウジやったんか!?」
「何ゆうてんのや、謙也」
「これですか?」
「あっこら、それやめゆうてるやろ」
「それや!!何やねんそれ」
「部長です」
「「いや見りゃ分かるわ」」
「おー流石息ピッタリすね」
「おおきに。ってそんなことどーでも良いわ。それはな・ん・や?」
「『うたたねの王子様』ちゅーけったいな名前の、部長ファン即倒モンの代物です。因みにブランケットなんで……『羽織ればいつでも部長に包まれてる気分に』らしいっすわ。一人寝のお供にどうですか?」
「自分今ごっつ馬鹿にしとるやろ、俺の事」
「財前それ返し」
「えー」
「えーやあらへん。ほら」
「ちっ」
「ったく油断もあらへんな。…………何してんのや謙也、手ぇ離し」
「改めて見るとすごいなこれ、色気むんむんや」
「色気むんむん……。そないむんむんか?」
「むんむんやろ、フェロモン垂れ流しや。」
「謙也さんと同じ歳とは思えませんね」
「うっさい。しかし、どないしたんやこれ」
「発売元から送られてきたらしいですわ、学校に」
「発売って、よぅこんなの許したな」
「それは許した覚えないわ」
「はっ?どういうことや」
「……夏に全国大会の対戦校決めに東京行ったやろ」
「あぁ」
「そん時にテニス雑誌の編集者言う人から取材を受けてん。俺も読んでる雑誌でまともな感じやったから、引き受けたんやけど最後にグラビアで使うからゆうて何枚か写真撮られてな」
「それがこれか?」
「せや」
「ええんか、それ?」
「ええも悪いも、既に発売されてもたし。それに俺も撮影中なんやノリノリやったし」
((ノリノリやったんかい))
「びっくりしたけどまぁええかと。あーでも一緒に撮影した幸村君はどーするやろか」
「えっ!?あの立海の部長も撮ったんか」
「おん、幸村君もなかなか色っぽかったわ」

(「立海の部長も知らんかったんやろ」)
(「部長の話では、そんな感じっすね」)
(「大丈夫やろかその編集者ちゅー人」)
(「無事……やないんじゃないすか。あれ作ったとこも」)
(「せやろな」)
(「はい」)

((……ご愁傷様です))


*********************

「幸村、こんな所で何をやっているのだ?」
「真田…と柳。別に大したことじゃない。『ゴミ』を焼却処分していただけだよ」
「そっそうか」
「うん。そうだ柳、後でちょっと付き合ってくれないかい」
「……あぁ承知した」
「ありがとう。助かるよ」


『うたたねの王子様のその裏で……』



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