視力検査1(ルサ)
「ほっ!てやっ!せぃっ!」
今日もいつもと同じように、あたしは秘密基地でちゃもと特訓をしていた。
「やぁ、今日も相変わらず泥まみれになってるね」
ニヤニヤしながら、ルビーが近づいてきた。 あたしとちゃもは特訓を止めてルビーの元へ駆け寄る。 そして、顔をルビーの耳元まで寄せて…
「ふんっ!泥まみれで悪かったったいね!!」
大声で思いっ切り叫んでやった。
「うわぁぁぁぁっ!!」 耳を押さえてうずくまるルビーを見下ろして、してやったり、と思った。
「ぅあぁ…サファイア、こ…鼓膜破けるよ…!!まだ…耳がキーンッて鳴って…るよ…!!」
ルビーは顔を歪め、途切れ途切れに言葉を言う。
「アハハ…すまんち♪」 「ふぅ…いいよ、もぅ」
ムスッとした顔で答えながら、ルビーはバッグから何かを取り出した。
それは…
「…メジャー!!」
ヤバい、採寸される!
そう判断したあたしは、すぐさまルビーから距離を取った。
「な…何するつもりったい…?」
警戒しながら、様子を伺う。
ルビーは無言でバッグから紙を取り出す。
「?」
「視力検査しようよ、サファイア」 「へ?」 予想外な言葉に、思わず変な声が出てしまった。「なして急に?」 「いゃ、前にジラーチの短冊の文字を遠い所からも読めたでしょ?あれ以来、サファイアの視力がどれだけあるか気になって気になって…」
ニコニコと笑いながら、ルビーは言った。
普段は大人びた表情だけど、こうやって笑う姿はまだ幼さを残していて…
そのギャップにあたしは、自分の顔が火照るのを感じた。そして顔を背けながら
「そんなことったいか。別によかよ」
と答えた。
「ホント!?」 「うん。ただし、ルビーも視力検査するったい!」 「良いよ♪」
ルビーはそう言うと、すぐに準備を始めた。
メジャーは、距離を測る為のものだったらしい。
少しホッとした。
**************************** 「さてと。じゃあサファイア、その足元にある線の所に立って、左目隠して」 「うん」
ルビーはアルファベットの「C」が書かれている紙を持って、あたしから離れながらこう言い付け加えた。
「そうそう、言っておくけど、この視標はCじゃないよ。ランドルト環っていうんだ」
あたしの心を読んだかのように、ルビーはニヤニヤしながらこちらを見ている。
こいつ…魔力でもあるんじゃなか?
本気でそう思った。
「んじゃ、始めるよ〜!」
ルビーは大声で言いながら、パッと紙を裏返して、らん……なんとか環をあたしに見せる。
「右」 「正解」 「下」 「正解」 「上」 「正解」
ルビーはまた、後ろに下がる。 「上」 「正解」 「左」 「正解」 「下」 「正解」
そして…
「Amazing…。サファイア…、キミの視力は左右2.5だ!!」
凄い!凄いよ!!と連発しながらルビーは拍手をした。
「アハハハ…。次、ルビーの番ったぃ!」 「うん!」
視力検査2へ続く→
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