二人揃って


「悠太、悠太〜」
いつものように放課になってやってきた祐希が悠太の名前を呼びながらその体にのし掛かる
「祐希くん、お兄ちゃん潰れるんだけど…」
呆れたように呟きつつも、乗り掛かっている弟の頭を撫でる悠太

「おい、そこの双子、主に弟の方。」
「何?」
「いちゃつくならここから出ろ、教室だぞ!」
「何ですか、要ってば…」
悠太に抱きついていた祐希がいつも通りのめんどくさそうな声で何かを言う前に悠太の含み笑いの声が聞こえる

「要…嫉妬?」
くすくすと柔らかい笑みを浮かべた悠太に要が視線をそらす
「ちげーよ!何でそうなんだよ!?」
しっかりと否定の言葉だけは残して

「あー、ほら、拗ねないでよ、要」
そう続けた悠太に後ろから手が伸びてきてそれを阻む
「悠太、今の顔可愛い…!」
後ろから再度強く抱き締められた悠太は腕の主、祐希に対し苦笑いを浮かべる
「今日は甘えん坊ですね、祐希」
「悠太が可愛いのがいけない」

そんな会話を始めた双子を呆れたように横目で見ていた要
付き合ってられないと言うように席を立つ

「あ、ダメだよ要。要は傍観者してなきゃ」
祐希にそう言われ要の額に青筋が浮かぶ
悠太はその様子を見ながら祐希の腕の拘束を緩める
「で、祐希。なんか用事だったんじゃないの?」
然り気無く話を流した悠太

祐希は頷くといきなりこんな言葉を発した

「カラオケ行きたい」
「はぁ?」無理矢理捕まえられていた要はその言葉に思わず呆ける
「あのですね、今日夢でお告げがあったんですよ。という訳でカラオケ、行こう」
「意味わかんねーっての!おい、悠太!このバカ止め、…?」
再び要の声があがり、助けを求めた先の悠太は驚いたように目を見開き固まっている

「悠太?」
キョトンとした表情の祐希が兄の名を呼ぶ

やがて悠太は瞬きをすると、口を開く
「ねぇ、祐希。その夢の内容お兄ちゃんに教えてくれない?」
どこか真面目な雰囲気…のような笑いだしそうな、そんな雰囲気の悠太に祐希は首を傾げながらもその夢の内容を語り始める
「俺と千鶴の提案で春と悠太と要を誘ってカラオケに行くんだけど、そこで暫く歌って休憩入った時に悠太に押し倒されて『ねぇ、祐希。好きだって言ったら笑う?』ってなんだか泣き出しそうな表情で言われたんだけど、その表情が凄く色っぽくて可愛くて「うん分かった、続きは?」
脱線しかけた話を悠太は軌道修正しなおす
「続き…?」
首を傾げた祐希はすっぱりと言い切る
「そこで目が覚めたから朝から大変だったじゃん」
その言葉に思いあたる節があるのか悠太の表情に照れが混じる
そしてやはり、楽しそうな笑みを浮かべた悠太は
「その夢ね、俺も見ました」
そういいはなった

ぽかんとした祐希と要、そして時計を見るとまもなく次の授業が始まる時間だ
悠太は祐希の背中を押して笑う
「ほら、次の授業始まるよ、また遊びにこればいいから今は戻って」
そう告げながら
渋々背中を向けた祐希は悠太と要の方を振り向くと嬉しそうに微笑む
「悠太とおんなじ夢なんて、益々良いじゃないですか、ね?」
「ふふふ、俺もまさか同じ夢見たなんて思わなかった」
それだけ会話すると、珍しく祐希はそのまま教室に返っていった
その姿が遠くなってから悠太は楽しそうな笑みを漏らす
「悠太?」
怪訝そうに要に聞き返された悠太は楽しそうな表情で口を開く
「実はね、あれには続きがあって、俺は最後まで見たんだけど、押し倒した俺自身が祐希からどいて要達の方に向かって笑いながらこう言うの」
悠太の楽しそうな声に誘われたのか、要も表情を緩めながら続きの言葉を促す

「『っていう夢を見たから、実践してみたんだ』ってね」
楽しそうな表情で告げられたその言葉に要は瞬きをひとつし、その表情が楽しげなものに変わる
「祐希は、途中までで良かったなw」
「最後まで見てたらどうなってたかな?」
「今頃、大変だろうよ」
「ふふふ、違いないね」

そんな会話を二人はしながら席につく
すぐに授業が始まるまでの僅かな時間
二人の間には少しだけ悪戯に成功した子供のような笑みが残っていた


―――――――――――――――
後書き
実際私が見た夢が元になってますw
元彼くんと友人の付き合いでカラオケ行くことが決まった翌日に見た夢(笑)
流石に実践はしませんでしたが、話をしたら友人にはバカウケされましたw
結果こんな話になりました(笑)
初書き君僕なのでキャラ崩壊が激しいし、文章はくどいし、問題点しかないですが
ひとまずゆきひめちゃんに捧げておきます(笑)
閲覧ありがとうございました!


*prevnext#
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -