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標的8




「お、よぉ殊夏!」

『武!』



放課後教室に残っていた殊夏は、戻ってきた山本に首を傾げた。



『あれ…部活は?』

「まだ始まってねーから大丈夫だ。殊夏はなにしてんだ?今日部活やすみだろ」

『なんか獄寺君が教室で待っとけって』

「獄寺が?お前仲いいよな」

『…(……仲、いいのか?)』



疑問符を浮かべてしまう殊夏は、廊下をバタバタと荒く走ってくる音に顔を上げた。そしてその直後、バンッと教室のドアが開け放たれた。



「オイ野球野郎!なんでグラウンドにいねーんだよお前は!!」

『あ、獄寺君』

「よぉ獄寺。俺になんか用か?」

「・……ちょっと来い。殊夏お前もだ」

『え、うん…(い、イヤな予感しかしない…)』



そのイヤな予感が的中する事を、殊夏はまだ知らなかった。獄寺に案内されるがままついたのは中庭。しかし獄寺は中庭につくと黙ってジロジロと山本を睨みつけるだけだった。そんな獄寺に山本はどうしたものかと殊夏を見るが、殊夏もお手上げなのか苦笑いを返すのみだった。



『(獄寺君、武がツナ君に馴れ馴れしいのよく思ってなかったからなぁ…)』



いきなりダイナマイトを出したらどうしようかと思っていた殊夏だったが、今のところそんな感じはしない。少しでも機嫌をそこねれば瞬時にダイナマイトが出てきそうではあるが。



「おいおい獄寺…呼びだしといてだんまりにらめっこはねーんじゃねーの?」



さすがの山本もどう対応すればいいのかと頬をかいていた。



「(いけすかねぇ野郎だ…こんなやわそうな奴が10代目を守れるわけがない)」

「おまえ牛乳飲むといいぜ。イライラはカルシウム不足だ」

『(でたぁ武の天然ぶりっ!!ここでそれを進める!?なんかブチって切れる音が獄寺君からしたよ!?)』



慌てる殊夏が仲裁に入ろうかとしたとき、おーい!!!というツナの声が聞こえてきた。



『ツナ君!』

「10代目!」

「よぉ」



肩で息をしながら安心した顔をしたツナ。



「(はぁ〜〜〜〜何もまだ起きてないみたいでよかったーーっ)」

『(……)



ツナが来て慌てて後ろに隠した獄寺のダイナマイトをじっと見ていた殊夏だった。



「!?なにそいつ。ツナの弟?」

「へ?」

「ちゃおっス」

「げっ。リボーン!!」



ツナの腰にロープをまいてスケボーに乗ってここまで引っ張ってこさせたリボーン。どーりで重いと…とツナは納得。



「弟じゃねーぞ。オレはマフィアボンゴレファミリーの殺し屋リボーンだ」

「(あーーーバカーーー!!いきなりバラしやがった!!)」

『(まさかリボーンくん武をマフィアに!?)』



そのまさかである。



「ハハハハ。そっか、そりゃ失礼した」

「ヘ!?」

「こんなちっせーうちから殺し屋たぁ大変だな」

「そーでもねーぞ。おまえもボンゴレファミリーに入るんだぞ」

「ちょっ、おいリボーン!」

「まーまー相手は子供じゃねーか。オレらもガキん時やったろ?刑事ごっこだのヒーローごっこだの」

「(なっ!!マフィアごっこだと思ってんのーーーー!!?)」

『武…』



ガーン…と衝撃を受けているツナの横で殊夏は口元を引きつらせる。



「よっ」

「ファミリーの10代目のボスはツナなんだ」

「っほーーーー。そりゃまたグッドな人選だな」



ヒョイとリボーンを肩にのせた山本に焦ったツナだったが何も起きなかった。



「(リボーンの奴オレが触れただけで半殺しにするくせに、山本の前では借りてきたネコみたくいい子ぶってやがる〜)」

「よーしわかった。んじゃ、オレも入れてくれよ。そのボンゴレファミリーってのに」

「えーーーー!!や…山本!?何言ってんの!?」

「ちっ」

『リボーンくん…』



山本の言葉にニカッと笑ったリボーンを見て殊夏は思った。



『(武の扱いになれている!?)』

「で、何すりゃいいんだ?」

「まず入ファミリー試験だぞ」

「っへーーーー。試験があんのか。本格的じゃねーか」

「試験に合格しなくちゃファミリーには入れないからな」

「あ(そ…そーだ。試験に受かりさえしなければ…)」

「ちなみに不合格は死を意味するからな」

「んなーーーーっ!!!」



合格しようが不合格になろうが、最悪の結末しかツナには待ってはいなかった。



「ハハハ。マジでおまえ面白いな。気に入ったぜ」

「(ちがうんだよ山本!このガキはやるといったら本当にやるんだよ!!)」



本気にとってない山本にツナの顔には冷や汗が流れる。



「試験は簡単だ。とにかく攻撃をかわせ」

「!?」



どこからともなく銃を装備したリボーン。



「んじゃ、はじめっぞ」



まずはナイフ、と容赦なく山本に向かってナイフを投げてきたリボーン。「うおっ」と驚きながらも持ち前の反射神経で山本はかわした。



「ま!まてよリボーン!!本当に山本殺す気かよ!!」

「(殺せ殺せ)」

『(獄寺君なんか物騒な事考えてる?)』



邪悪な笑みを浮かべていた獄寺を見て冷や汗を流した殊夏。



「まあまてツナ」

「え?」



山本を庇うように前に出たツナの肩に山本は腕をまわして言った。



「オレらもガキん時木刀で遊んだりしたろ?いーじゃねーかつきあおーぜ」

「(まだ子供の遊びだと思ってるーーーー!!!)」



ええ゛ーーーーーっ!!ともう引くしかないツナだった。そんなツナに家庭教師は最悪な言葉を言った。



「ボスとしてツナも見本を見せてやれ」

「はぁ!!?」

「そいつぁーいい。どっちが試験に受かるか競争だな」

「ちょっ、え゛え゛ー!!?」

「殊夏カバン頼むな」

『うん…(やる気満々だよ…)』

「さあ逃げろ!」

「そんなぁーっまったーっ!!」





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