×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -





「さぁよこせ友人帳を」



本来の姿へと戻ったニャンコ…もとい斑が夏目に乗りかかり友人帳を奪おうとしていた。



「だっ、だめだ。先生こそ変なことに使う気だろ」

「むっ、あたりまえだそんな面白そうなもの!!」

「なっ、何て奴だ…!」

「早くわたさないと潰してしまうぞ」

「う……、……」

「さぁ…」



その時だった。



『貴志くんを離してよっ』



ーーーーゴッ.



「雪野!?」

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」



現れた雪野が斑に蹴りをお見舞いした。結構な威力のようで、斑は蹴られたところをおさえて悶絶している。



『た、たかし、くん…だいじょ、ぶ?』

「大丈夫ってか、雪野の方が大丈夫か?」

『…つ、疲れた…』



ゼーハーと肩で息をする雪野。



『……先生って、こんな姿だったんだ。びっくりした』

「おれもびっくりした」

『…ニャンコ先生、友人帳奪おうとしたんだね…』

「…あのなぁニャンコ先生…一応これは、おれらにとっては祖母の大事な遺品なんだ」

『軽々しく手放せないよ』

「ーーーー確かに祖母もミヨさんも、人とうまくつきあえなかったらしい。彼女たちを憶えている人≠ヘほとんどいないんだ。娘だった母でさえ記憶にないくらい若くして亡くなっていて……唯一血縁の自分たちくらいは、その名を憶えていたり遺品を大切に預かってたり……つながりを持っていてやりたいんだ」

『うん…人ごととは思えないし』

「……」



じっと斑は二人を黙って見つめる。



「……さて、面倒はなるべく避けたい。返せるならさっさと返さないとな」

「何を?」



そーっと動き出した夏目。



「名前だよ。先生、返し方知らないか?」

「あほう、やめんかもったいない!!それに何枚あると思っているんだ!!そもそも方法は簡単だが凶暴な相手も多い。長生きできんぞ」

「平気だ。おれらには先生についてるじゃないか」

『用心棒、してくれるんでしょ?』

「何だと!?」

「本来、こういうことに関わりたくはなかったけれど…」

『ある意味祖母たちがお世話になった妖怪達だもん』

「おれらが途中で命を落としたら友人帳は譲るから。頼むよ先生」

『力をかして…?』



真っ直ぐに斑を二人は見つめる。



「ーーーー…本当だな?本当にお前たちが消える時は友人帳、私が拾っていいんだな?」

「ーーーーああ」



斑の言葉に二人は嬉しそうに笑って答えた。



「ーーーー…よかろう。見届けよう」

「『……ありがとう』」



そして、まずは夏目を追いかけていた妖怪たちへと返すことにしたのだが…。

ーーーーずる…ずる…



『(…デカイ)』

「(こいつは後まわしだ。もう一匹でまず試せ)」

「(そうだな)」



初めてということもあり、三人は人の姿に似ているもう一匹の方を探し始めた。



「(お、いた!)」



少し走った先にもう一匹を発見。



「雪野、あいつをイメージしつつ開いて念じろ」

『うん…我を護りし者よ、その名を示せ』



バッと友人帳を開き唱えると、風が吹いているわけでもないのにパラパラとページがめくれていく。



「あとは自動的に友人帳が割り出すよ」



その時妖の方がこちらに気づいて向かってきた。



『きゃーーーーっっ』

「わーーーー来たっっ」



慌てて雪野の手をとると夏目は猛スピードで逃げ出した。



「雪野名前は!?」

『ま、まだっ』

「早くしてくれ〜」

『ニャンコ先生重いっっ!!』



逃げながら友人帳が名前を割り出す時間稼ぎをしていると、あるページで紙が止まった。



『これだ…貴志くん!』



ビリッと破ると夏目へと慌てて雪野は押し付けるように手渡した。受け取った夏目は斑から教わった方法を思い出す。

ーーーー「次に必要なのはレイコかミヨの唾液と息。血族(お前たち)ならやれる。だが、この作業は夏目、お前がした方がいいだろう」



ーーーーぱんっ.

紙を口に咥え、言われた通り手を強く打ち合わせた柏手を打つ。ふっ…と息を吐くと、紙から文字がしゅるしゅると出てきた。

ーーーーかりかげ。



「君へ返そう 受けてくれ」



紙から出ていった文字は、妖、かりかげの額へと吸い込まれていった。



「…イコ、ミヨ…………」



直後、風光が訪れかりかげがいた場所を見ると、そこにかりかげの姿はなかった。



『いない…』

「帰ったか。まずは一匹。どうやらやれそうだな」

「ーーーー…ああ」



prev next