×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -





結局、丸一日保健室で過ごした雪野は一足先に帰ろうとしていたのだが、なんとまあ帰り道にまたしてもカッパが倒れていた。



『………』



学校で買ったばかりのペットボトルの蓋を開けて、呆れながらも水をかけてやる。



『何してるのお前…』

「お、お礼を申したく待っておりましたら干あがりまして…恩人様、せめてお名前を」

『…朝お前を助けたのは私じゃないよ』

「はて?確か掴んで離さなかった気が…」

『ああ、うん、すごく困ったあれ…男の子がいたでしょ。その子だよ助けてくれたのは』



そして、なんだかんだと二人木陰に並んで夏目を待つことに。



『(何やってるんだろ…)』

「何やってんだ?」

『あ、貴志くん』



呆れを滲ませつつ怪訝そうに夏目が歩いてきた。



『貴志くんを待ってて、またこの子干あがってたの』

「またか」

「恩人様!恩人様のお名前をお尋ねしたく待っておりました。お名前は?」

「…「夏目」」

「…ナ、夏目?「夏目」様?」



がしっ、とカッパは夏目の腕を掴む。



「ひょっとして、あの世にも不思議な「友人帳」をお持ちと噂の「夏目レイコ」様?」



僅かに、目を見開いて夏目は身を引いた。



「手にすれば多くの妖の魂を束縛し、従え、統べることが出来るという…いわば夏目親分さん!!」



ミーハー全開のカッパにレイコじゃないと否定する間を逃す。



「感激っス!!」

「わーなつくなー!」



行くぞ雪野!慌てて夏目は雪野の手を引いて走り出す。



「ありがとうございました夏目の親分ー」

「その呼び方やめろー!」



遠ざかるカッパに夏目は叫んだ。



prev next