×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -








「その中に私の名はないよ」



静かに口を開いた斑へと二人は戸惑ったように視線を向ける。



「一度勝負を断ったら、ちょくちょく勝負しろと訪れるようになったから」



時々ミヨがいない事もあったが、と斑が言うと雪野は目を伏せた。



「一週間ほどこない日があったかと思えば、それ以来レイコ一人で来るようになった」

「『……』」

「けれど、ある日ピタリと…」

「『……』」

「二人とも、あきらめたのかと思っていた。人の命が儚いのも忘れていた…」

『……先生が、友人帳を欲しがる理由って』

「…あいつらのことだ。遺品さえひきとる者もいまいと思って、友人帳は私が預かってやろうと思ったのだがーーーー…やれるかい夏目、雪野」



じっと三人は見つめ合うが、答えは決まっていた。



「ーーーーああ、やりたいんだ」

『私も、最後までやり通したいーーーー』



迷いのない夏目と雪野の言葉が、真夏の青空に反響した。

ーーーーそれからは。



『あの…塔子さん』

「なぁに雪野ちゃん?」

『ニャ、ニャンコ飼ってもいいですか?』

「まあまあ。頭のでっかいニャンコν」



ほんの少し。



「昨日大丈夫だったか?」

「はは、ありがとう」

「夏目、結局捕まったのか?」

「は?」



さわがしい日々。



「レイコー!ミヨー!」

「わーっ!?」

『やーっ!?』

「『(ストレートに恨んでる奴も多いんだな)』」



妖怪のことはあいかわらず、あまり好きにはなれないが。



「だからいちいちついてくるなよ」

「お前たちがいつ友人帳を落とすかわからんじゃないか」

『そんなことしないよ…』

「言っただろう。見届けると」



それは、良くも悪くも、出逢いのひとつ。



「…あ、先生。あそこのまんじゅううまいんだって」

「何!?食う食う!!」

『え?でもニャンコって甘いもの食べてもいいの?』

「ニャンコじゃないと言っとるだろうが!」



next.
prev next