「(ーーーー水の音が聞こえる)」
『(瞼に感じる…これは、夏の日差し…?)』
「(僕は、夢を見ているのか…?)」
ーーーー夢の泉に映るのは、物語の続き。輝ける黄金の午後。
『(夢から醒めたのなら、何が見えるの…?)』
ーーーー……では坊ちゃん、お嬢様。目を開けて。
「『ーーーー…セバスチャン』」
ボートをこいでいたセバスチャンはその声に見下ろすと、寝ぼけ眼のシエルとダリアに声をかけた。
「よくお休みになられていましたね」
起き上がった二人は、はっきりしない思考に訝しむ。寝過ぎた時のようなぼんやりとした感じに不思議に思っていたが、ふと前を見ると、エリザベスが一緒に乗っており、自分達に向かって微笑んだ。
「『ん?』」
隣に並んできたボートを見ると、そこにはメイリン、フィニ、バルドが乗っており、エリザベス同様に笑顔を向けていた。
「坊ちゃん、お嬢様。そろそろ到着です」
頭が起きていない二人に、セバスチャンは笑いかけながら言った。
「お仕事のお時間ですよ」
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