「…お嬢様」
朝日が照らす森の中、セバスチャンは眠る少女の頬をそっと撫でると、トランクに手をかけた。
ーーーーカチッ.
開けた中にいるのは、少女と同じ眠り続ける少年。
「………」
両脇に手を入れ壊れ物を扱うように持ち上げた少年は、本当に人形のように力が抜けている。まるで、死んでいるようだ。
「坊ちゃん…」
さら、と座らせた少年の前髪を撫でると、セバスチャンはアロイスから奪った茶葉の缶を開けた。その中に指をいれ探し当てた物を取り出す。茶葉の中から取り出されたのは、青い宝石が綺麗な指輪だった。セバスチャンは少年の手を取ると、親指にその指輪をはめた。指輪はやがて淡く光り出し、少女の耳にあるピアスも同じように光り出した。
「さあ…坊ちゃん、お嬢様」
それを見て、笑みを浮かべたセバスチャンは、二人にそっと呟いた。
「お目覚めの時間ですよ」
next.
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