雨フレコノ日ニ
この頃、雲行きが怪しくなることが多い
雨フレフレ
「とうとう降ってきやがった」
俺はそう呟いた
今日に限って傘を忘れ、置き傘もないという状況
しかたない、濡れて帰るかと思い、外に出ようとした
すると、後ろから凛とした猫をイメージする声が聞こえた
「傘、忘れたの?」
後ろからの声に、思わず俺は振り向いた
「え?、あ、あぁ」
俺は生返事をした
その反応に彼女は笑った
そして、折り畳み傘を開いて、俺にさしだしてくる
「あげる」
そう笑顔で俺に傘を押しつけて
土砂降りの雨の中に飛び出していった
俺は、何故かその彼女の姿にひかれ声をかけた
「おいっ!」
その声に彼女は顔をむけて、静かに
そして意地悪そうに笑って言い放った
「君の頭のワカメが増えない様に助けてあげるよワカメ君
人の良心のある、見返りを所望しない行為は素直に受け取っておきたまえ」
そう言い放って、走って行った
いつもなら怒って食いかかっているものの、雨のせいで覚めてしまう
いや、何故か顔が暑い
早く覚ましてくれないかな
雨の日限定の彼女
いつか傘、帰せっかな
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