蜜に誘われた蝶は蜘蛛糸にかかった


今日も綺麗なピアノの音色が音楽室に響く

廊下でも微かに聞こえるその音を私は心地よく聞き惚れていた
ウトウトとしてきた頃に、ピアノの音がピタリと止んだ

ガチャと扉があく、私は運悪く扉に寄っ掛かる感じで聞いていたのでバランスを崩してたおれこんだ、

痛みが襲うかと思ったが、痛くはなく、なにか人の体温があった

演奏者に受け止められたようだ

恥ずかしさと、申し訳のなさでアワアワと赤面しながら足早に立ち去ろうとすると「待つのだよ」と落ち着いた声が私を引き留めた


「あ、えと、何でしょうか」

真っ直ぐ、というより少々睨み気味で私を見る、学校の中でトップクラスの有名人、緑間君
彼は何でもできて、少々無愛想だが優しいとこもある、女子の中でもかなり人気の人
そして私の彼氏の相棒様

よく知っている........間接的にだが、人で私は何かやらかしたかと内心ビクビクしながら振り返った


「........宮智だよな」


「え、あはい、そうですが」


何やら嬉しそうに不敵に口許を歪ませる彼

端から見れば羨ましい光景なんだろうが、私はなぜか悪寒が走ったのだ


「俺の音色が、気に入ったのか?」


急な質問に少々跳び跳ねる


「え、あ、はい....」
「ではいつでも聞きに来て良いのだよ、部活の無い日は、ここで弾いているから」


そういってまた音楽室に戻っていった

それからすぐ、和成君が来て、その事を冗談半分で話した

そうしたら何故かとても青ざめて「もう会うな」と私を抱き締めた、

彼のその行動の真意は今は、わからなかった

わかるようになるのは、あと一週間後........


2012.10.9.18:30.曖霧

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