不思議な彼の愛し方




私は、多分親に売られた

黄瀬くんは、モデルもしていてとてもかっこよくて、でもってお金持ちだったから

私は、父の借金を帳消しにするため、意図も簡単に使われたのである

それ自体に、別に不服だとか、恨んでるとか、別にそういう訳でもない

親とは、中はもう他人も同然のようなものだったから

でも

我儘なのかもしれないが、あの日から私には傷が増えた

彼、黄瀬くんの鬱憤をはらす、つまり、まぁ簡単にいうと当て馬、人形、奴隷、そこら辺がしっくりくるモノになってしまった

だから私の体には、ナイフとかカッターとかの切傷が深くも浅くもいっぱい、いっぱいあった

黄瀬くんはその線のような傷跡を、治りかけの瘡蓋をなるべく痛みを与えるようにピッと剥がすのが好きらしく、私が痛みで顔を歪めると、その綺麗な顔を、ぐにゃりと笑顔にする

整っているはずなのに、歪んで恐ろしく、今の私にはそうとしか見えなかった

そんな黄瀬くんは、私を学校に行かせない
何かを恐れるように、駄目ッス........と抱き締めてくるからだ

私が誰かに言うとでも思ったのか、
なんだか、そういうのとは違う気がした

第一、人気者の彼の事を言ったって、誰も信じちゃくれないだろうし

彼の目は、執着心、それに近い色をしていた


不思議な彼の愛し方

君への思いの名は独占欲
そんなことも知らないで


2012.11.12.01:45.曖霧


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