君を咬み殺す3 | ナノ




覚悟の末に
「……つまり、」
〈つまり、デーチモの持つボンゴレリングに、俺がジョットから受け取ったこのリングが共鳴し、こうして姿を形成できた、という訳だ〉
「……そうか、うんよくわかんねえ」
〈あはははっ!正直だね、雛香!〉
〈煩いレイラ〉

 殴り殴られ、小さな悲鳴とため息が入り混じる目の前の光景はとりあえず無視し、雛香はこめかみを押さえ息を吐いた。
 なんていうか、本当によくわからないが――どうも、自分の先祖とボンゴレは昔から繋がりがあったらしい。それも、かなり親密な。

〈……まー、2世以降は腐っちゃったからねえ、ボンゴレとは関わりが一気に薄くなっちゃったんだけど〉
〈……お前が仕組んだことだろう?レイラ〉
〈やっだなー、何の話?〉

 にこり、笑むレイラ、それを無表情に見返すマイラ。
 よく似た両者の間に一瞬、ピリリと冷たい何かが走るのを、雛香はうっすら感じ取った。

 先ほどからなんとなく察していたことだが、どうやらこの双子、自分と雛乃のようにただ仲が良いというわけではなさそうだ。
 どうも、互いが互いに腹に一物抱えている――そんな、どうにも危うい関係性を感じる。

〈……さて、デーチモよ。覚悟のあるお前に、2世以降のボスには受け継がれず俺の肉体とともに葬られたこのリングの継承を、〉
〈そして腐りきった末に人体実験なんて行って、その結果与えられちゃった『催眠』による苦しみからの解放を、〉
〈〈お前(君)に約束しよう〉〉

 息を呑み身構えた雛香の前、
 まるで鏡を介したかのように同時に片手を差し伸べた2人の姿が、急激に白くまばゆく輝いた。





- ナノ -