君を咬み殺す3 | ナノ




複雑な再会
「雲雀さん!」
 叫び、喜びに顔を輝かせたツナが駆け寄る前で、くるりと振り返る黒スーツの青年。

「何してたんだい?沢田綱吉」

 うっすら笑うその腕の中、抱かれているのは、

「雛香君!!」

 血に塗れぐったりとしたその姿に、ツナは途端に青ざめた。
「煩いよ、そこどいて」
 そっけなく言葉を発した雲雀が、ショックで動けないツナを押しのける。
 しかし、

「雛香ッ!!」

 凄まじい勢いで飛び込んできた、黒髪の青年に邪魔された。


「……宮野雛乃」
「雛香……っ、ごめん、僕が、もっと早く……」
 満身創痍な片割れの姿を見、雛乃はツナより蒼白になり顔を歪める。
 だが泣きそうな表情を浮かべたのは一瞬で、次の瞬間には青ざめながらも落ち着いた表情で雲雀を見上げた。

「……久しぶり、ですね。雲雀さん」
「そうだね。ところでそこをどいてくれるかな、宮野雛乃」

 どこか平淡な雛乃の挨拶にも、雲雀は奇妙なほど短く応え横をすり抜けようとする。
 だが。

 パシッ。


「……雛香を渡してもらえますか」


 素早く動いた雛乃の左手が、横を行く雲雀の腕を強く掴んだ。





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