世界の崩壊 04



※グロ表現有り





中学生になったある日。おばあちゃんと私は随分な田舎に暮らしていた。昔ながらの大きな平屋のお家は冬は寒いが私の大好きな帰る場所だった。



「だだいまー!」

「……」

「おばあちゃん…?」



いつもの"おかえり"の声が返ってこない。その事がとてつもなく私を不安な気持ちにさせる。



「おばあちゃん…いないの?」



おばあちゃんだって買い物に出掛けたり、裏の畑に行ったりすることはある。だけど、いつも書き置きとおやつを置いていってくれるのに今日はそれがなかった。
不安な気持ちのままおばあちゃんの部屋に向かう。大きな家のため廊下を使わず部屋を抜けて近道をする。おばあちゃんの名前をいくら呼んでも返事はなく自分の心臓が痛いくらいに脈を打っていた。



「おば…ぁちゃ……ん……!」


やっと辿り着いおばあちゃんの部屋は真っ赤に染まっていて、吐き気を誘う鉄の臭いが埋め尽くしていた。



「……クシナ?」

「、な…に……?」



今を思ったらあの時の私はやけに冷静だった。震える身体を叱咤しおばあちゃんの傍らに歩み寄った。
おばあちゃんからはヒューヒューと、嫌な空気が漏れ息が出来ていなかった。



「クシナちゃん……」

「ん?」

「話とかなくちゃ、ね…」



嫌な予感しかしなかった。昔から自分の感はよく当たる。



「おばあちゃんが死んでも…弱く、なっちゃ…だ、めよ?」

「……」

「クシナちゃんには力がある…それは、クシナがうずまきの女…として、生まれてきた…定め…」

「…おばあちゃんも、母さんも?」

「えぇ、母さんはその責を全うしたわ…クシナには色々見えているでしょ?それも…」



幼い頃から人ならざぬものが見えていた。その為、普通の大人には忌み嫌われてきた。おばあちゃんにも見えていたのは随分前に教えてもらったがまさか血の為とは知らなかった。



「いつかクシナちゃんは時を又は、世界を越えるかもしれない…その時は、思い出すのよ……クシナちゃんはこの世界で…父さんや母さんそれに、私に愛されていると……」



聞きたいことはたくさんあった。だけど、その時間はないということはいやでも分かる。おばあちゃんの手が……冷たくなってきている。



「空、」

「そら…?」

「きっと、しあわせに……なる」



おばあちゃんの手はするりと私の手を抜けて畳に落ちた。
おばあちゃんの目は何も写してなかった。



(20110130)
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