世界の崩壊 03 それは私がまだ幼い頃。両親を早くに亡くした私は親戚の家をたらい回しにされていた。 私は大人が嫌いで、大人の背中が大嫌いだった。 「気持ちの悪い子」 「こら、あの子に聞こえる」 「……私もう嫌よ!あの子の世話なんて!あなたはいいわよ、だけど私は一日中あの子といるのよ!」 「分かった…仕方ない」 よく聞く言葉だった。この言葉を聞いた翌日は何時も違う家の子になっていた。大人は嫌い。私に背中を向けて私の顔なんて目なんて見てくれないから。 「あたし…は」 まだまだ小さな私でも分かっていた。私、は…… 「いらない、子……」 声に出してみた泣きはしない。泣くことはもう飽きた。叫びもしない、足掻くことも…私は、ただ堪えるだけ。 私の手はまるで小さな紅葉のよう。この手ではなんにも出来ない。 「クシナちゃん、私のところに来てくれない?」 「……おばあちゃんの、とこ?」 顔を上げれば私と同じ薄い赤毛のおばあちゃんがいた。赤毛は私と私のお母さんだけしかいないと聞いていた。 「やっと会えたねぇ、クシナちゃん」 「………」 「会えるのを楽しみにしていたんだよ?」 「ふ、…ふえ……うわーん!」 初めてだった。私に笑顔をくれる人は、私の目を見てくれる人は。おばあちゃんは私を愛してくれた。 後から聞いた話し、このおばあちゃんは私の実の祖母だったらしい。そして、おばあちゃんの下で中学生の一年の夏まで過ごした。その夏、私に忘れたくても忘れることの出来ない出来事が起こった。 (20110116) |