■ 14

「ま、ひろ…っ」

名前を呼べば耳から口が離された

間違いなく真啓に耳を食べられていたようだ。
 
「あずみチャンは耳もサイコーに感じるんだな」

馬鹿にしたように言ってくるコイツに少々…いや、かなり腹が立った。

「煩い、黙って」

「怒んなよ」

薄く微笑みながら頬を手の甲で撫でられる
そんな事でさえ照れてしまった俺はそっぽを向いた


真啓といると自分が自分じゃないみたいだ。
なんで照れてんだよ俺。


そっぽを向いた時に曝け出されてしまった
首筋を真啓は細目で見た。
月明かりに照らされて元々白い愛澄の肌が
一層白く際立って妖艶に真啓を誘う

ちゅっと首筋に軽くキスをして
うなじ当たりの匂いを嗅ぐように
すーはぁ、と深呼吸を繰り返した後
「はぁ、たまんねぇ」っと呟いた。


腰にくる様な色っぽい声
そんな声色にゾクゾクする。



それと同時に
まるで恋人同士のような雰囲気に戸惑う   


この一日で散々人の心の中に入ってきて
なにがしたいんだコイツ。


「…なんなの、お前」

「あずみチャンにえろいことしても許される唯一の存在とかじゃねぇの?」

「……もう、だまってしんで」

「照れてんのか」

「…ッ、おまえなぁ」

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