■ 9

じ、と見てると

「なに、見惚れてんの?」

とニヤニヤしながら訊ねてきたから

「別に」っと返事しておいた。


少し経って、「上がってこい」と言われたから
言うとおりにして湯船から上がった


手招きをされ
真啓の目の前まで行くと
真啓は今まで座っていた風呂用の椅子を退けて
風呂のタイルに座った
俺はその脚の間に座らされた

自分で洗うのになんで
ここに座らされているか分からない
すると、

「洗ってやるよ」

「え」

俺の了解もなく
髪を洗い始めた

まあ、どうでもいいか
多分、俺が止めても止めてくれないのは
目に見えていたから


なんでこいつ俺に構うんだろう
いくら父さんのお願いだからって
断れば済む話だ。
どこの誰か分からない人間の
人間不信克服の手伝いなんて
俺だったらまっぴらごめんだ。



そんな事を考えている間に
髪洗うのが終わっていた


「んじゃ、次は体な」

「…いや、それはさすがに…」

「別に、減るもんじゃねーんだからいいだろ」


あ、そっか。と納得してしまったけど
会って一日の初対面だよ、おれら。


「あっ」

「声、えっろ」

まて。
なんで素手にボディーソープなんだ、
体洗うやつで洗ってくれるんじゃないのか。

[ prev / next ]

back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -