■ 5

「いやっ…やめ、………」

「安心しろ、愛澄。」 

背中をポンポンと叩きながら
耳元で「怖がるな、」と囁かれた

まるで過去の事を知ってるような口振り


「ふ ……ん、こわぃ」

「俺が?」

「わからな っ」

何故だろう涙出てきた 
あの時すら泣けなかったのに
何故、今おれは泣いてるんだろう。

何故だが分からないが
安心している自分が何処かにいる。
俺は無意識にその男に縋り付くように
腕を回していた

今まで我慢してたものが溢れる
泣かないように必死に作り上げてきた心の壁ががらがらと崩れてく。

「……こわかった」

「ん。」

「体中触られて………おれ…おれ犯されっ ん」

「もういい、それ以上は黙れ」

口に親指以外の4本の指を入れられた


「…ふっ……ぅ」

「俺がその傷、癒してやるよ」

そういい、口から指を抜いて
目の前の男は俺にキスをした。


「なに ん くるしッ………」

「ん……」


なんでキスしてるのだろう

別にキスの一つや二つでどうこう言う歳でもないし
ロシアの方の従兄弟たちと普通にキスくらいはする。

つか、上手いこいつ。
今度は違う意味で涙が出た。

その涙を眼球ごと舐める勢いで
舐められ、体がビクつく。


さっきは寝起きで目がぼやけてて
余り見えなかったがこいつ、相当の美形だ。

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