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- ナノ -

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電車に揺られて2時間位で私達は目的地に着いた。

そして、観戦席に座るなり周りを見渡し始めたのは一十木くん。

「凄い人だね!」

ニコリと笑顔を向けられればこちらも笑顔になって頷く。

すると、一番端に座っていた一ノ瀬くんが立ち上がって私達を見つめた。

「みなさん、飲み物を買いに行きませんか?」

「おぉ!忘れてたぜ!!」

ぴょこんと元気良い返事と共に立ち上がった来栖くんから次々と立ち上がるみんなの姿を見ながら、私も席を立つ。

すると、またいつかの声が聞こえた。

「やよいっち!」

振り返ればブンブンとこちらに手を振る黄瀬くんの姿。

周りにいた皆が私と彼を見て不思議そうに首を傾ける。

「あれって、モデルの黄瀬涼太じゃない?」

「あっ、言われてみればそうですね……」

興味津々で黄瀬を見るトモちゃんとハルちゃんと真逆に私の腕をグイグイと引っ張り出した葉瑠ちゃん。

「……行こう」

私は彼女の言葉に頷いて一歩脚を動かす。

しかし、それは後ろから聞こえる声に塞がれる。

「ちょ、待ってよ。やよいっち!」

私は首だけを黄瀬に向けてニッコリと笑う。

「人の名前を大きな声で何度も叫ばないでくれるかな?」

「も、桃井?」

「やよい、ちゃん?」

チラリと後ろを見れば目を見開くハルちゃんと一十木くん達が見える。

「驚かせてごめんね?」

その時の私は本当に笑えていたのかは自分ですら分かっていなかった。



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