■■お好み焼き屋に蘭丸と嶺二が乱入
ぼちぼち帰ろうかとみんなで話始めて数分、その人達は現れた。
「席空いてますか?って、人多い!」
明るく大きな声で言って店に入ってきたのはつい最近まで見慣れていた嶺二さん。
先程までざわついていた店内が一気に静まった。
そして、その後ろからやって来たのは如何にも面倒臭いですと言った表情の蘭丸さん。
ふと、私と蘭丸さんの目が合った。
「......」
「......」
じっと見つめ合えば、嶺二さんも蘭丸さんの視線の先が気になったのかこちらを見たと思うと彼はそのまま目を見開いて固まる。
しかし、次の瞬間には首を傾けて嶺二さんは確認するように私を指差しながら口を開いた。
「あれ、やよいちゃん?」
私は未だに驚いてる様子の彼に苦笑いを向けて頷けば途端、笑顔になってこちらへ駆け寄ってくる彼。
「うわ、すっごい偶然!」
ガシッと私の手を取ってニコニコ笑う嶺二さん。
蘭丸さんがゆっくりとこちらへ向かって来たと思うと嶺二さんの肩を掴んだ。
「......おい、いい加減にしろ嶺二」
ギロリと視線だけで人が殺せそうな蘭丸さんと、それを見て顔を真っ青にする嶺二さん。
「や、やだなぁ!ごめんってば!!」
嶺二さんが慌てて謝る中、二人を見て固まっていた周りの人たちが動き始めた。
「......え、あれって本当に寿嶺二に黒崎蘭丸?」
「......いや、でもなんでこんな場所に?」
「カメラ回ってんの!?」
「いやいや、ないだろ」
「うっわー凄いイケメンだな」
ざわめき立つ店内と、そうなるごとに不機嫌になる蘭丸さん。
蘭丸さんが嶺二さんの首を元を突然引っ掴んで出口へと歩き出した。
「......帰るんですか?」
ぽつり、そう私が告げればこちらを見る左右異なった色を持つ瞳。
刹那、嶺二さんが暴れ出した。
「えー!久しぶりにやよいちゃんに会えたのにランランもう帰るの!?やだやだー!!」
如何にも不満そうな彼と、早く帰りたそうな蘭丸さん。
「相変わらず仲いいな......」
私はその場で言い合いを始めた二人を見て苦笑を浮かべながらそう呟いた。
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