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■■赤司落ち夢


私には好きな人がいる。

別にこれといって何故好きになったかなんて覚えていないけれど確かに好きなのだ。

顔を見れば赤くなってしまうし、話し掛けることは絶対に無理。

だから、私は自身の幼馴染みでもあり片想い相手の部活仲間である玲央にいつも彼のことを相談している。

「玲央、私どうしたらいい?」

「どうしたらいいって言われたってねぇ?」

「諦めた方がいいのかな?」

「それはダメよ!」

うーん、と机の上で伸びれば軽く頭を叩いてくる玲央。

私の視線の先に黄色いチューリップが見えた。

「ねぇねぇ、玲央。あれ嫌がらせ?」

黄色いチューリップの花言葉は「実らぬ恋・正直」と言ったもの。

まあ、簡単に行ってしまえばあれだ。

正直なのに実らない恋だ。

「本当に面倒くさい子達ね」

「ん?」

玲央がチューリップから食堂の入口を見て呟いた。

そして、顔を上げた先にいたのは赤司くん。

どことなく彼の眉間には皺が寄っている気がする。

ツカツカと彼がこちらへ向かって来た。

「……玲央、何をしているんだい?」

「あら、何もしてないわよ?可愛い幼馴染みのお話を聞いてただけ」

クスクスと笑い出す玲央。

赤司くんが私の腕を掴んで立たせた。

「少し付き合ってくれ」

同時に掴まれた手と彼の顔を見比べ赤くなる私の頬。

視界の隅で玲央がニヤニヤとしているのが分かる。

そうして下を向きながら彼の後ろを追ってやってきたのは人通りの少ない二階ヘ続く階段のすぐ下。

彼は無表情ながらに私を見つめると口を開いた。

「急にすまないね。......玲央と何を話していたんだい?」

有無を言わせないような雰囲気。

私はしどろもどろにそれに答えた。

「えっと、ちょっとした相談を......」

すると、彼は静かに腕を組みながら何かを考える様子で「そうか......」とだけ言うと黙り込む。

そして、次の瞬間には私を真っ直ぐに見詰めながら言った。

「......突然ですまないが、前々から君が気になっていたのだけど話しかけるきっかけが無くてね。先ほど玲央と君が二人きりで話しているのを見て嫉妬してしまったようだ」

私はその言葉にこれでもかと目を大きく見開き息を詰める。

赤司くんは最後の止めだと言うように言った。

「......好きだ。付き合ってくれないかい?」

同時にわたわたと慌てる私とそれを微笑ましそうに見る赤司くん。

「い、いえ!こ、こちらこそお願いします!!」

赤司くんはただでさえ綺麗な顔に薄く笑みを浮かべて私の手を優しく掴むと、手の甲にキスをひとつ落としたと思うと歩き出す。

こうして、辿り着いた食堂で私たちが両片思いだったことを知っていた玲央が私達を見てやれやれと言うように首を振って笑っていた。



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