■■未来で夢主が売れ始めた頃にキセキと再会
私が家を出てからもう三年は経ったと思う。
今では私もそれなりに有名な作曲家になり蘭丸さんのいるQUARTET★NIGHTの専属の作曲家になっている。
そして、今日はQUARTET★NIGHTの出演するイベントが開催されることになった。
その際、専属作曲家のお披露目があるからと先生方から私も歌が終わったあとに舞台へ出るようにと指示があった。
刹那、私がメイクをしている部屋の扉が開いたと思うと蘭丸さんの急かす声が聞こえた。
「おい、やよい早くしろ」
「分かってますよ」
私は軽く鏡を見た後に彼の言葉にそう返して席を立つ。
「......おせェ」
「これでも急いだんですけどね」
私は歩き出した蘭丸さんの隣を歩き、舞台の手前にスタンバイした。
そして、次の瞬間呼ばれた私達の名前。
『では、今回のメインゲストのQUARTET★NIGHTとその専属作曲家の桃井やよいさんです。どうぞ!!』
ぞろぞろと順番に表舞台へと一歩を踏み出す私達。
一気に目の前が変わった。
すると、私の視界に一番最初に私の視界に写ったのは私と同じ桃色の髪の毛と懐かしい青い髪。
更には中学時代に嫌というほど見た色ばかり。
私は一歩その場から後ずさり、隣にいた蘭丸さんの服の袖を周りから見えないように強く握った。
「......どうした」
「......姉達が、います」
私の言葉を聞くなり私の視線の先を見て眉間に皺を寄せた蘭丸さん。
ゲストの席から姉さんが私の名を呼んだ。
「やよい!!」
一人が私の名を呼べば次々と周りからも聞こえてくる私の名を呼ぶ声。
すると、QUARTET★NIGHTの皆さんがマイクを片手に姉さんたちの声を止めた。
「はいはーい、そこまでね。今は撮影中だから用があるなら後でにしてくれないかな?」
「ま、会えるかどうかは分からないけどね」
「お嬢様方、それでも撮影の邪魔をするというならば早めに退出の方をお願い致します」
一応は皆さんもきちんとした対応をしてくれている。
隣にいた蘭丸さんが皆さんと同じくマイクを口元へ持っていくと告げた。
「テメェら、これ以上こいつの夢の邪魔をすんな!!」
「......姉さん、お願い」
最後にマイクを片手に告げた私の心の内。
驚く姉さんたちを尻目に、私の瞳からは沢山の涙が溢れでてとどまることを知らなかった。
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