▽ 13
私とフランは、みんなとできるだけ離れた場所で座っていた。
「ふぅ、焦ったよ……」
「ミーもですよー。あの人ってKYなんですかねー」
「フラン、お口チャックだよ」
私が笑うとフランも微かに口許を緩めた……気がした。
「でも、すみませんねー。勝手に彼女なんて言って……」
「ううん、仕方ないよ。あんな状態だったら言うしかないし、ねっ?」
コクンと首を縦に振ったフラン。
「あっ、美桜さんー」
「なに?」
「これから学校の帰りとか一緒に帰りませんかー?」
私は瞬きを数回した。
「……ん?えっと、いいのかな?」
「良いから聞いてるんですよー。と言うか、こちらが頼んでる側ですー」
「あっ、そうか。じゃあ、宜しくね!」
私はそのままフランから視線を外すと、空を見上げた。
そして、その水色の空を見て思い出したのは入学前にテツヤとした約束。
『美桜』
『テツヤどうしたの?』
『もし、もし良かったらバスケ部のマネージャーになってくれませんか?』
『うーん……別にいいよ!』
私はもう一度フランに視線を戻す。
「……あの、フランさん」
「どうかしましたかー?」
「私、バスケ部のマネになるって約束したんでした……」
「……馬鹿ですねー」
「すみません……」
冷たい目で見られた私は彼に頭を下げた。
すると、以外にも彼は間を開けて言った。
「まあ、ミーもバスケ部に任務の護衛標的がいますからねー……ミーもバスケ部に入りますかねー」
バッと顔をあげるとニヤッと笑うフラン。
目を見る限り嘘ではないようだ。
「なんか、ごめんね……って言うか、フランってバスケできるの?」
「いいですよー。……美桜さん、ミーはこれでも体力もありますし運動神経もいいんですけどー?」
「でもそれってずるくない?それにフランってバスケしてなさそうなイメージっていうか、弱そう」
「……目にもの見せてやりますよー」
「ふふっ、頑張ってね〜」
私たちはその場から立つと、駅に向かって歩き出した。
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