▽ 10
暫くその場で泣き続けた私。
私が泣いてた間もフランは私から離れずにずっと隣にいてくれた。
「もう、大丈夫」
私がそう言って立ち上がると、フランも立ち上がった。
「とりあえずお昼行きましょうかー?」
「うん、そうだね」
私は一歩大きく踏み出して汚い顔で笑う。
「行こっか!」
「あんまり無理しちゃだめですよー?で、お昼は何がいいですかー?」
「ありがと。えっと、パスタ!」
フランはいい店があるらしく私の手を掴んで歩き出す。
そして、着いたのは小さいけれど美味しそうな匂いが立ち込めているお店。
「入りますよー」
「はーい」
チリンと可愛らしい音を鳴らして開いた扉。
フランは空いてる席に進んで行くと席に着きメニューをこちらに差し出してきた。
「どうぞー」
私は手渡されたメニューを見ながら呟く。
「……迷う」
すると、フランがこちらを見て首を傾けた。
「なら、ミーと同じものにしますかー?」
「うん、そうする」
結局、彼と同じものにして来たのはイカスミパスタだった。
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