>> その他
・狐塚と月子の関係については最初完全に騙されました。だんだん恋人にしては相手に近付く異性に対する警戒心のなさとか諸々の反応に違和感がでてきたので、下巻を読む前にふと解説をパラ見して月子の兄云々の文が目に入った時に「へえ、月子には兄がいるのか。これからでてく……いや、狐塚が兄か!」って気付きましたが、先に解説読んでなかったら月子が浅葱に惹かれてることには気付けても狐塚と月子が兄妹とは気付かなかったかも。
しかし、浅葱は四年も親しくしてたのによく気付かずにこれたな。普通どっかで気付くだろと思わなくもないですが、その辺もそれまでまともに人と交流できなかったがゆえなのかな。

・表裏一体となった劣等感と優越感、自分は愛されないと思っている人間の愛されたいという悲痛な叫びが溢れていて、読んでてかなりしんどかったです。
劣等感があるからこそ、優越感に浸ることで自分を保つ。自信があるように見える人すらも自分は選ばれないだろうと、求めることを恐れる。誰しもが持ちうる感情だけに心が抉られる。

・浅葱が月子を拒否してしまったところは完全にすれ違っていてやるせなかったですね。
浅葱が狐塚と月子が恋人ではなく兄妹と知っていたら、そもそも月子がもっとはやく普通に浅葱に告白していたらあんな結末にはならなかったんじゃないかと思わずにはいられない。
でも、月子も自信満々に見えて自分は選ばれないと思っている側の人間なので、あんな半ば脅すような形でしか「私を選んで」と言えないんですよね。普通に告白できていたとしても浅葱は受け入れられなかったかもしれないし。

・なんとなく救いを感じるような終わり方でしたが、結局月子が好きになった浅葱は消えてしまったし、月子も記憶喪失になってしまうしで、救われたと解釈してしまっていいのかどうか。
iは狐塚たちに見つけてもらえたし、きっと浅葱が誰かを愛して誰かに愛されたことに救いを感じたんだろうけど、浅葱と月子はあんな終わり方でよかったのかな。i曰く浅葱は月子がいたから不幸ではなかったそうだけど。
(2019/04/23)
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