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呼び方…


-なにゆえ-


ある日のことだった。
巡察が終わって帰ろうと茶屋の前を通ると、苗字が働いていた。
「苗字―…」
何か買って帰ろうかと声をかけようとしたとき―
「また来てやったぞ、名前」
きんきらのやつが通ったと思うと、そいつは苗字に話しかけた。
「げ、千景! また来た!」
「また来たとはなんだ」
「だって昨日も来ただろ!」
「そうだったか? 忘れたな」
「ボケ」
2人で仲よさそうに(?)喋っている。
俺は陰に隠れ、2人を見る。
「で、何を食べるんだ? 千景」
「なんでも良い、名前が選んだものならな」
「じゃあいつもの(高いの)で」
そう言って苗字は裏に入っていった。


俺は言った。
「なにゆえあいつは呼び捨てで俺は苗字なのだ…」
俺はあいつに「斎藤」と呼ばれる。
こ、恋仲になって数日経つのにだ。
どうせなら俺も…名前で呼ばれてみたいものだ。
「どうすればいいのか…」
そうして俺は物陰で考え続けるのだった。


千景と言ったか…あいつは気にいらぬな。




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