私と彼の試験戦争 | ナノ

▽ 冬休み 初詣にて


また会った。

-冬休み 初詣にて-

1月1日。
誕生日でもある今日、俺は総司と平助と初詣に来ていた。
…来ていた、はずだったのだが…
「どこに行ったんだ、あいつらは…」
見事にはぐれてしまった。
「しょうがない、どこかで待つか…」
と、神社を出ようとしたとき。
「…斎藤?」
聞きなれた声に呼びとめられた。
「苗字…?」
振り返ると、そこには。
「あけましておめでとう、斎藤」
着物で着飾った苗字がいた。
「…いつもと全然違うな」
「そう? 綺麗? 惚れた?」
「惚れ…!?」
「嘘だって」
クス、と苗字が笑う。
…なんか調子狂うな。

「で、何してるの?」
「総司と平助と離れてしまってな…」
「ほんと? 丁度私も家族と離れちゃって」
「そうだったのか」
「じゃあ、一緒に回る?」
…ということで。
「斎藤、おみくじ! おみくじ回そう!」
「待て苗字! 俺たちまではぐれてしまう!」
何故か俺は苗字と初詣をすることになった。
「苗字、どうだった?」
「……………」
「苗字? ……悪い」
苗字がおみくじで凶を引いてしまったりもしたが、
「楽しかったよ」
「ああ、俺もだ」
こんなに楽しかった初詣は初めてだった。

「じゃあ次は学校で! 学年末は絶対勝つ!」
「ああ」
「そうだ、あと…誕生日おめでとう、斎藤」
―今日、苗字といて分かったことがある。
「…ありがとう、苗字」
俺は…苗字が好きかもしれないと。

だから、絶対負けるわけにはいかないんだ。

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