俺は今日も、あの角を曲がる。

此方に気付いた彼女は、はにかんだ笑顔で俺に向かって手を振る。



「斎藤さん!……良かった、今日はもう来ないのかなって」


「すまない、少々巡察が長引いてしまった。……茶を、頼めるか」


「はい、すぐにお持ちしますね」



それから程無くして、湯気の立ったお茶と、団子が運ばれてくる。



「……団子を頼んだつもりはないのだが……?」


「これは私からの気持ちです。巡察、遅くまでご苦労様でした。甘いものでも食べて、ゆっくりなさって下さい」


「かたじけない、有り難く頂戴する」



……いつからだろう、俺がここへ通うようになったのは。


気が付けば、名前の入れるこの茶を楽しみにするようになっていた。






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