19
自分の気持ちに。
-素直になれ-
えー…えー…えー…
私って斎藤のこと好きなの?
えー…まじか…
「まじで!?」
「うるせえぞ苗字!」
「ごめんなさい!」
廊下を歩きながら1人で喋っていると土方に怒られた。
だって…だって…
「私が斎藤を…好き、とか」
ありえない、よね。
だけど…
斎藤を見るとドキドキする。
斎藤といると楽しい。
斎藤が…気になる。
これは―好きってことなのか?
「…はあ」
逃げてしまった。
苗字の本当の気持ちを聞こうと起きるのを待っていたけど、いざ聞くとなると…聞けなかった。
「冗談だ」、と言われるのが怖くて。
「どうすればいいのだろうか……」
俺は正直、苗字は総司を好きなんじゃないかと思っていた。
いつも一緒にいるし、最初の方は総司の部屋に泊まっていたし。
土方さんの句集を読んだり土方さんいじりを楽しそうに2人でしていて…
だから、好きになるなんてありえないと思っていた。
しかし、最近は、苗字が気になって…
昨日のことが本当だったらいいのに、と思う。
ふと俺は、前に総司が言っていたことを思い出した。
『素直になりなよ』
素直に…なれば。
苗字は俺に応えてくれるのか…?
それなら俺も、
「素直になる…か」
まっすぐに想いを伝えよう。
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