17
またしてもでろんでろん。
-巻き込まれ、飲んだくれ-
「っしゃあ飲むぞおおおおおお!」
永倉のその一言で、みんなが飲みだす。
いつもの三馬鹿だけではなく…斎藤、沖田、土方までも。
「しかしお手柄だったなあ、斎藤!」
「巡察で浪士を捕まえるし、そんで御礼に酒は貰ったしな!」
「…お前たちはそっちが本心だろ」
「まーな!」
あはははは、とみんな笑ってる。
めずらしいな、みんなで飲んでるなんて。
私は飲めないから、少しつまんないや。
「名前も飲めよー!」
また顔を赤くした永倉が酒を勧めてくる。
「またかお前は…飲めないと言ってるだろ」
「少しくらい飲めよ!」
平助までも。
うーん…飲めないけど、今日くらいは…
「分かった、少しだけなら」
「おっ! じゃあほらよ!」
早い。 用意してたな。
私は平助から酒を受け取り、少しだけ飲んでみた。
「…う」
なんか、喉が熱い。
酒って…あんまり、美味しく、ない。
「…苗字…?」
隅でちびちびと酒を飲んでいると、苗字が近づいてきた。
心なしか、顔が赤い。
「お、おい…」
「さいとー…」
「な、なんだ…?」
いつもより虚ろな目をした苗字は―
「…さいとー、好きだ」
と言って、俺に口付け、ばたんと倒れた。
「…………」
何が起きた?
「………………ッ!?」
周りを見るとみんなでろんでろんで、見てたやつはいなそうだ。
「お、おい、苗字…?」
名前は倒れたまま寝息を立てていた。 もしかして、酔っていたのか?
だが苗字は俺に好きだといい、あろうことか口付けを…
「……………」
俺はどうすればいいのだろうか。
「…とりあえず、飲むか」
そうして俺は、半ばヤケになって酒を飲んだのだった。
本当? 冗談?
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