ハローハロー宇宙人さん
告白編
自覚をしてしまったらもう駄目だった。
「武藤君どうした?体調悪い?」
もう何度目か分からない問いが水野さんの口から出る。
普通が分からない。
今までどういう風に水野さんに接していたのかが思い出せないし、顔が赤くならないようにするだけで精いっぱいだ。
何を今まで話して来たのか覚えているのに、これから何を話しかけていいのかもよく分からない。
明らかに自分でもおかしいと思うけれどどうにもならない。
「今日、うちよらないか?」
ため息を一度ついた後そう言われる。
多分きっと呆れているのだろう。
なんで自分が変になってしまったのか理由は言えないけれど、水野さんの誘いは断りたくなかった。
◆
水野さんの家に連れてこられた。
今日もうちの人は誰もいない様だった。
今まではあまり気にしていなかったことが気になってしまう。
二人きりなのだという事実に、心臓がどきどきする。
「それにしても、ここまでわかりやすいとは思わなかったな。」
困ったみたいに笑いながら水野さんが言う。
それから、俺に手を伸ばして俺の髪の毛に触れる。
思わず、ギクリと真っ赤になってしまうのが分かるのに止められない。
「ほら、分かりやすい。」
今度は水野さんは微笑んだ。
「駄目だ。駄目だよ……。」
これはいけない事だ。
今のままで、友達のままで充分幸福なのに、望んではいけない話なのだ。
外で手を繋げない様な関係に水野さんを引き込みたくは無かった。
それなのに――。
「好きだよ。」
普通の事みたいに水野さんは言って、それから嬉しそうに双眸を緩める。
怖くは無いのだろうか。
友情が壊れてしまうかもしれないってことに、男同士だってことに、水野さんが気が付いてない筈ないのに、まるで普通の事みたいにしている。
好きだって自覚をしただけで、普通にしてられなかった俺とはこんなにも違う。
「だって、俺たち男同士だよ?」
「そこは、大した問題じゃないよ。」
水野さんは言う。
「大丈夫だよ。」
今も、これからも、お互いに好きなら大丈夫さ。
水野さんは自信がありそうに言った。
「だから、そんなに怖がらないで?」
水野さんに言われて、ようやく俺も「俺も、好きだから。」と嗚咽交じりで伝えられた。
了
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