喫煙室の恋2
たぶんこれだけでも読めるかと…みんなの想像力を信じてる!←
新社会人XSパロ。喫煙者と非喫煙者の恋。
*
喫煙所でいくつか言葉を交わすようになってから一週間。
なにがどうということはないものの、最初よりは気軽に話すようになった気がする。スクアーロに至っては喫煙所に居なくともわざわざデスクまで来て話しかけてくるようになった。
話す内容はいつもそそられない剣術バカな話か健康オタクな話ばかりだったが。
珍しくあがりが重なりどちらとは無しに飯でも行くかという空気になって初めてアフタープライベートを過ごすことになった。
オススメな店があると言い出したので足を運べば、しゃれた外観をしたリストランテ。野郎二人で入るのはどうなのかと思うような店だったが、個室だし味はお墨付きだとうるさいので入ってしまった。
「お席は禁煙か喫煙、いかがなさいますか?」
「喫煙で」
「禁煙で」
「「………」」
しばし見つめ合い。
「禁煙で」
「喫煙で」
またも重なった言葉は別だった。しかもお互いさっきとは別の答えを口にしたくせに、である。
笑顔は張り付けたままなものの、店員が困りだした。
「………えー…と…」
「どっちだテメェ」
「お前こそ!吸うんだろぉ!?」
「テメェが健康オタクだから禁煙つったんだろうが」
「なっ…、お前吸わないと長居したくねぇとか言うしイライラしたりするから!」
「「………」」
店員が暖かい目で見つめだしたので結果喫煙席に。
「………」
「………」
メニューが一つしかないので隣に座った。近い。
「マグロのカルパッチョがうまいんだぁ」
「ならそれ頼め」
「あと…帰り電車かタクシーだよなぁ?飲もうぜぇ」
「お前飲めるのか」
「人並みにはなぁ」
その言葉にいける口かとウイスキーを頼んだのだが。
人並み。
こいつの人並みがいかほどのものかは分からなかったが、ウイスキー一杯目ですでに顔が赤いのでこいつの回りは飲まない奴ばかりかとため息。
「顔赤すぎだろお前、水飲め」
「あー?なんでだぁ?」
「鏡見てこい」
こいつ隣なのを良いことにベタベタしてくる。
酔いやすい上に絡み酒か……めんどくさい奴と飯を食いに来てしまった。
面倒だから無視して吸ってしまおうと思い煙草をくわえたらわざわざ腕を回して左胸を服ごしとは言え触られ個室じゃない方がマシかもしれないと思いながら肘で体を押す。
「…なにしやがる」
「あぁ?吸うんだろぉ?」
どうやら胸ポケットに入れたライターを探してまさぐっていたらしく、ライターが取れればくわえたままの煙草に火をつけた。
「……あれ、ライター替えたかぁ?」
「オイルが切れたがら繋ぎだ。煙草についてたオマケだ」
「ふーん…」
とっくり。
海のさざ波が描かれたライターを見つめているスクアーロ。
「きれいだなぁ」
「欲しけりゃくれてやる」
「!!いいのかぁ?」
「安物のオマケだ。ただし今日はオレが煙草くわえたら火付け役はテメェだぞ」
「おう!」
しっぽがあれば全力で振ってるんだろうな、と想像するに足る顔に少し照れくさくなった。
何でそんなに喜ぶ。馬鹿。
視線を逸らし煙草をふかす。
スクアーロは相変わらず普段の顔と違う顔を見せ続けて体を寄せてくるから。
紫煙を吐いて灰を落とした。
「お前、何でそんなに絡む」
「良いだろぉ、誰も見てねぇんだから」
「………。」
「喫煙室じゃオフィスから見えるしよぉ」
「テメェ、見えたら困ることしようとしてんのか」
「さぁなぁ」
にやにや笑いながらマグロのカルパッチョを摘まみ、俺にも勧めてくる。試しに口だけ開けたらソースとマグロの切り身をたっぷり絡めて口の中に。
「お前はオレの彼女か。しかも自分でつかったフォーク使いやがったな…」
「お前の女はこんな献身的かぁ?」
「いねぇよ」
「なんだぁ、いねぇのかぁ。男前なのにもったいねぇなぁ」
相当酔ってるのか頬をガッツリつかんで間違えばキスするんじゃねぇのかって距離でにやにや見てくる。
女がいなかったとしてこんな女居てたまるか。
「は、テメェも女連れ込み放題な顔してるがな」
「顔で寄ってくる女に興味ねぇ」
「……じゃあなにに興味あるって?」
「剣とかお前とか?」
「寝言は寝てから言えっつーか剣と並べんな」
コイツにとっては最上級の賛辞のつもりなのだろうが。
「お互い寂しい独り身なんだからつきあっちまうかぁ」
「同じことを二度は言わせるな」
ふー、煙を吐いたらスクアーロは寝言じゃねぇのに、とぼやいた。
寝言じゃなきゃ困る。
酔っぱらい相手にがちな返事が出来るか馬鹿。
20130529.
RTありがとうございました!!
たぶんこれだけでも読めるかと…みんなの想像力を信じてる!←
新社会人XSパロ。喫煙者と非喫煙者の恋。
*
喫煙所でいくつか言葉を交わすようになってから一週間。
なにがどうということはないものの、最初よりは気軽に話すようになった気がする。スクアーロに至っては喫煙所に居なくともわざわざデスクまで来て話しかけてくるようになった。
話す内容はいつもそそられない剣術バカな話か健康オタクな話ばかりだったが。
珍しくあがりが重なりどちらとは無しに飯でも行くかという空気になって初めてアフタープライベートを過ごすことになった。
オススメな店があると言い出したので足を運べば、しゃれた外観をしたリストランテ。野郎二人で入るのはどうなのかと思うような店だったが、個室だし味はお墨付きだとうるさいので入ってしまった。
「お席は禁煙か喫煙、いかがなさいますか?」
「喫煙で」
「禁煙で」
「「………」」
しばし見つめ合い。
「禁煙で」
「喫煙で」
またも重なった言葉は別だった。しかもお互いさっきとは別の答えを口にしたくせに、である。
笑顔は張り付けたままなものの、店員が困りだした。
「………えー…と…」
「どっちだテメェ」
「お前こそ!吸うんだろぉ!?」
「テメェが健康オタクだから禁煙つったんだろうが」
「なっ…、お前吸わないと長居したくねぇとか言うしイライラしたりするから!」
「「………」」
店員が暖かい目で見つめだしたので結果喫煙席に。
「………」
「………」
メニューが一つしかないので隣に座った。近い。
「マグロのカルパッチョがうまいんだぁ」
「ならそれ頼め」
「あと…帰り電車かタクシーだよなぁ?飲もうぜぇ」
「お前飲めるのか」
「人並みにはなぁ」
その言葉にいける口かとウイスキーを頼んだのだが。
人並み。
こいつの人並みがいかほどのものかは分からなかったが、ウイスキー一杯目ですでに顔が赤いのでこいつの回りは飲まない奴ばかりかとため息。
「顔赤すぎだろお前、水飲め」
「あー?なんでだぁ?」
「鏡見てこい」
こいつ隣なのを良いことにベタベタしてくる。
酔いやすい上に絡み酒か……めんどくさい奴と飯を食いに来てしまった。
面倒だから無視して吸ってしまおうと思い煙草をくわえたらわざわざ腕を回して左胸を服ごしとは言え触られ個室じゃない方がマシかもしれないと思いながら肘で体を押す。
「…なにしやがる」
「あぁ?吸うんだろぉ?」
どうやら胸ポケットに入れたライターを探してまさぐっていたらしく、ライターが取れればくわえたままの煙草に火をつけた。
「……あれ、ライター替えたかぁ?」
「オイルが切れたがら繋ぎだ。煙草についてたオマケだ」
「ふーん…」
とっくり。
海のさざ波が描かれたライターを見つめているスクアーロ。
「きれいだなぁ」
「欲しけりゃくれてやる」
「!!いいのかぁ?」
「安物のオマケだ。ただし今日はオレが煙草くわえたら火付け役はテメェだぞ」
「おう!」
しっぽがあれば全力で振ってるんだろうな、と想像するに足る顔に少し照れくさくなった。
何でそんなに喜ぶ。馬鹿。
視線を逸らし煙草をふかす。
スクアーロは相変わらず普段の顔と違う顔を見せ続けて体を寄せてくるから。
紫煙を吐いて灰を落とした。
「お前、何でそんなに絡む」
「良いだろぉ、誰も見てねぇんだから」
「………。」
「喫煙室じゃオフィスから見えるしよぉ」
「テメェ、見えたら困ることしようとしてんのか」
「さぁなぁ」
にやにや笑いながらマグロのカルパッチョを摘まみ、俺にも勧めてくる。試しに口だけ開けたらソースとマグロの切り身をたっぷり絡めて口の中に。
「お前はオレの彼女か。しかも自分でつかったフォーク使いやがったな…」
「お前の女はこんな献身的かぁ?」
「いねぇよ」
「なんだぁ、いねぇのかぁ。男前なのにもったいねぇなぁ」
相当酔ってるのか頬をガッツリつかんで間違えばキスするんじゃねぇのかって距離でにやにや見てくる。
女がいなかったとしてこんな女居てたまるか。
「は、テメェも女連れ込み放題な顔してるがな」
「顔で寄ってくる女に興味ねぇ」
「……じゃあなにに興味あるって?」
「剣とかお前とか?」
「寝言は寝てから言えっつーか剣と並べんな」
コイツにとっては最上級の賛辞のつもりなのだろうが。
「お互い寂しい独り身なんだからつきあっちまうかぁ」
「同じことを二度は言わせるな」
ふー、煙を吐いたらスクアーロは寝言じゃねぇのに、とぼやいた。
寝言じゃなきゃ困る。
酔っぱらい相手にがちな返事が出来るか馬鹿。
20130529.
RTありがとうございました!!