みそボスとちび鮫の鮫誕


みそボスとちび鮫


かさかさ。
袋に入ったケーキが、手をつないだXANXUSの向こう側で小さく揺れる音を聞きながらスクアーロはそわそわと喜びが隠しきれずににこにこしながらザンザスの隣を歩く。ザンザスが一歩進めば小さな体は三歩早く足を動かさなければならなかったが、大きな手に導かれているおかげもあり苦ではない。

今日は誕生日なのだ。
昨日よりひとつお兄さんになった。
去年より背も大きくなった。
早く大きくなりたいとずっと思っている。いつか隣で手を引くザンザスよりも大きくなって、今は抱き上げられるばかりだがいつか抱き上げるのだと大志を抱いている。
たくさん牛乳を飲んで毎日柱に傷を付けて背を測ってもらっていて、数字の横に一本棒が伸びるのを毎年楽しみにしているのだ。
家に帰ったらケーキを食べて、背を測ってもらって。
誕生日だけ許された隣で寝られる特権でザンザスの隣で眠るのだ。
ただ最後のは子供っぽいし、幼稚園では自分は一人で眠れる大人なのだと豪語しているから皆には内緒である。


「ザンザス!ケーキなにかったんだぁ?」
「家につくまで我慢する約束だろ。待ってろ」
「……」
「お兄さんならこのくらい待てるよな」
「おう!とうぜんだぁ!!まつ!!」
「よし」


オレを抱え上げてケーキを持たせたザンザスを見上げれば、ケーキ落とすなよと言いながら歩いてくれた。


「オレ、お兄さんだからあるけるぞぉ!」
「遅ぇ、足が長くなってから出直せ」
「……。」


頬を膨らませる。早く大きくなる急務が出来たので、オレは今日からもっと牛乳を飲むことに決めた。
早くザンザスを追い抜くのが今の目標だ。

家について、顔を洗って手を洗ってテーブルに着いたら、普段夕飯のときは禁止なお菓子や、大きなチキンにマグロのカルパッチョににパンプキンスープ、兎に角好きな食べ物が広がっていた。
トドメとばかりに真ん中に丸いショートケーキを置いたのでテンションが上がり、身を乗り出す。


「ショートケーキだぁ!」
「…そうだな。蝋燭は年の数たてる。お前今日でいくつだ?」
「みっ……よっつ!」


今までの癖で三本指立ててみっつと言い掛けたのをあわてて飲み込みもう一本指を足してよっつと言い直せば、ザンザスはくつりと小さく口元をゆがめてからケーキによっつろうそくを立てて火をつけてから電気を消した。
ゆらゆら炎の不規則な揺らめきがとても幻想的で、もしかしたら魔法使いが現れるのかも知れないと思いながら吹き消した。
ふー、一息で消えたろうそくに部屋が真っ暗になってからぱちりと電気がついてぱちぱちとザンザスがオレに拍手を送る。


「Buon compleanno.」
「おう!」
「ケーキ、残さず食えよ」
「あたりまえだぁ!」



(背のびたかぁ?)(それなりにな)(おう!)(でかくなって重くなりすぎたら抱えてやらねぇからな)(!!)


(今のうちにだっこしてもらっておこう)



20140313.


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