※他ジャンルワートリ短文(修)


オレは人よりできない人間だ。
逃げることが怖かったのかと言ったらそうじゃなくて
詰み続けていたのを壊すのが怖かった。

「なんでオサムはそう思うんだ?」

自分が弱い事も、役に立てないってことだって理解はしてるんだ。
暴力ごとにはめっぽう弱いことだって、一生懸命やって人より半分しかできないことだって全部わかっていて、それでも、いままで一つだけ貫いてきて積み上げてきた“逃げない”を崩してしまうのが怖かった。それすら崩してしまったらオレには何が残るのか。
千佳のお兄さんから唯一頼まれたこと。
人に支えてもらってようやく一つこなせる程度のオレにできると思って頼んだんじゃないことくらいわかってるんだ。
オレには守れないかもしれない。きっとあなたにできないことなんかオレにはできないんだってわかっている。
でも俺は逃げないって、それだけは信じて千佳を託してくれたお兄さんにできることって。
お兄さんを失って友達を失って落ち込んでる千佳にできることって、オレにはやっぱり無理だってわかっていても逃げないことしかできないんだ。
わかるのは、オレはたった一つ守ってきた逃げないってそれすら積み上げた意地を崩してしまったら。
「オレがそうしようと思うからだ」
もう誇るもののないオレはそれからすべての事象にすら逃げてしまうんだろう。
これはオレのためだ。真面目なんじゃなくて、自分に自信が持てなくなるのが怖くて、っていったらみんな失望するだろうか。ほら、オレはこんなに自分のことしか見れない人間なんだ。

ああ、それでもほら。一個だけ、貫き通して得たものがある。
「リーダーはオサムだ」
「うん、わたしも修君がリーダーが良い」
弱いけどいいかな。
弱いままでいたいままじゃないけど、一つだけ誇っていいかな。
人の信頼、一つだけもらえた。


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